NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題34-36

問34:M. abscessus speciesのマクロライド耐性機構において、erm(41)遺伝子が欠失しているためにマクロライド感受性を示す亜種はどれですか?
A. Mycobacterium abscessus subsp. abscessus
B. Mycobacterium abscessus subsp. massiliense
C. Mycobacterium bolletii
D. Mycobacterium fortuitum

問35:M. abscessus speciesの薬剤感受性検査で、erm遺伝子の活性化の有無を判断するために、マクロライド感受性の変化を捉えるのは何日目の判定で可能ですか?
A. 1日目と3日目
B. 3日目と14日目
C. 7日目と21日目
D. 1日目と28日目

問36:2020-国際ガイドラインによる肺M. abscessus species症の治療において、点滴薬を併用する強化期間を何と呼びますか?
A. 維持療法
B. 強化療法
C. 単剤療法
D. 待機療法

突っ込みどころが多いイラストですが笑

問31:正解:B
根拠: 付記のエリスロマイシン(EM)の項に「しかしEMにはMACに対する抗菌力がなく,抗菌作用を期して用いるのではなく,免疫調整作用を期して使用されるものである。」と記載されています。

問32:正解:B
根拠: 肺M. kansasii症の治療の項に「RFP(10 mg/kg/day,最大 600mg)+ EB(10~15 mg/kg/day,最大 750 mg)+CAM(800 mg/day体重<40 kg の場合は600 mgを考慮)とする。」と記載されています。

問33:正解:C
根拠: 付記の肺M. kansasii症の治療の項に「CAMの代わりにAZM(250 mg/day)あるいは INH(5 mg/kg/day,最大300 mg)を用いてもよい。」と記載されています。

長尾先生の論文がInternal medicineにPublishされました -Campylobacter coli empyema resistant to macrolides and fluoroquinolones: a case report and literature review-

当院に研修に来てくれた長尾先生が症例報告を書いてくれました。

色々な経験をして、臨床も論文もすごい充実してたと思います!またうちに来てくれないかなー

https://doi.org/10.2169/internalmedicine.6100-25

Campylobacter coli による膿胸の1例です。

え、カンピロ?coliって大腸菌じゃなく?って思いますよね。実はCampylobacter coli っていう菌が存在し、C. jejuni同様、食中毒をおこすと言われています。それが膿胸を起こしたという報告はなく、当論文が第一号となります。

しかもニューキノロンとマクロライド耐性で、カルバペネム系薬しか感受性薬がないという臨床的には結構ピンチな状況でしたが、胸水のドレナージが不十分であったため外科的治療を行い、無事治癒しました。

実はカンピロバクターの膿胸の報告は複数あり、論文内で11例のまとめをLiterature reviewをしていますが、C. rectusなど口腔内常在菌がほとんどです。食中毒を起こすカンピロバクター菌でも膿胸を起こすことが発見でした。

ってゆーか、口腔内にカンピロバクターって普通にいるんだ…そっちも知らなかった…

NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題31-33

問31:エリスロマイシン(EM)が肺MAC症治療で考慮される場合、期待される作用は何ですか?
A. 強力な抗菌作用
B. 免疫調整作用
C. 肝機能保護作用
D. 鎮痛作用

問32:肺M. kansasii症の標準治療における日本での推奨レジメンに含まれる薬剤はどれですか?
A. RFP + INH + SM
B. RFP + EB + CAM
C. RFP + AZM + LZD
D. CAM + EB + AMK

問33:肺M. kansasii症の治療において、CAM(クラリスロマイシン)の代わりに用いてもよいとされている薬剤はどれですか?
A. アミカシン(AMK)
B. イミペネム(IPM)
C. AZM(アジスロマイシン)あるいはINH(イソニアジド)
D. クロファジミン(CFZ)

Nodular opacityとあるのはCavty lesionですね。

問28正解:C
根拠: 付記のアミノグリコシドの筋注,点滴の項に「聴力障害は,総投与量の増加,短い投与間隔,耳毒性を有する他の薬剤との併用などによりリスクが上昇する50)。 」と記載されています。

問29正解:B
根拠: 付記のリポソーム化アミカシン懸濁液吸入療法の項に「本剤の保険適応は2020-国際ガイドラインと同じく,標準的な治療を 6カ月以上継続しても排菌陰性化しない難治例で,かつ検出菌のAMKに対するMICが128μg/mL未満の場合に,原則的にそれまで使用されていた治療に追加する。」と明記されています。

問30正解:C
根拠: 付記のリファブチン(RBT)の項に「皮疹,発熱,消化器症状,肝障害などの他,特有の副作用として,ぶどう膜炎が知られている。充血,目の痛み,飛蚊症,霧視,視力低下,見にくさ(ものが歪んで見える,中心部が見づらい)などを訴えるが,アレルギー性ではなく血中濃度に依存した中毒性と言われており,使用開始後 2~ 5カ月で出現することが多い 56)。」と記載されています。

NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題28-30

問28:アミカシン(AMK)点滴療法における聴力障害のリスクが上昇する要因として、述べられているのはどれですか?
A. 低用量投与
B. 長い投与間隔
C. 総投与量の増加、短い投与間隔、耳毒性を有する他の薬剤との併用
D. 血中濃度をTDMで管理している場合

問29:アミカシンリポソーム吸入用懸濁液(ALIS)が日本で保険適応を有するのはどのような肺MAC症の症例ですか?
A. 初回治療例
B. 標準的な治療を6カ月以上継続しても排菌陰性化しない難治例で、かつ検出菌のAMKに対するMICが128μg/mL未満の場合。
C. アミノグリコシド注射薬が使用できない全例。
D. 全てのMAC症例。

問30:リファブチン(RBT)の特有の副作用として知られているものは何ですか?
A. 腎機能障害
B. 肝機能障害
C. ぶどう膜炎
D. 聴力障害

問25正解:C
根拠: 付記のEBによる視神経障害についての項に「日本結核・非結核性抗酸菌症学会,日本眼科学会,日本神経眼科学会より合同で発出されたEBによる視神経障害に関する見解に則り,使用前に眼科での診察を受け,開始後も定期的な経過観察を受ける33)。 」と記載されています。週3日治療は視神経障害の出現頻度が低いと述べられています。

問26正解:D
根拠: 付記のマクロライドについての項に「その理由として,両者の排菌陰性化達成率に基づく有効性は同等だが,AZMのほうが,①忍容性が高い,②薬物相互作用が少ない,③内服錠剤が少なく服用の負担が少ない,④ 1日 1回投与である,⑤コストが低い,などがあげられている。」と記載されており、排菌陰性化達成率は同等とされています。

問27正解:C
根拠: 付記のRFPの使用についての項に「RFPは肝臓の薬物代謝酵素を誘導し肺MAC症治療のキードラッグであるCAMの代謝を亢進し血中濃度を著しく低下させる42)~44),また,消化器症状などの忍容性の問題が認識されている。」と記載されています。

NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題25-27

問25:エタンブトール(EB)による視神経障害について、正しい記述は次のうちどれですか?

A. 週3日治療の方が連日治療よりも視神経障害の出現頻度が高い。

B. 視神経障害は可逆性であるため、中止しても回復する。

C. 使用前に眼科での診察を受け、開始後も定期的な経過観察を受けるべきである。

D. 低用量投与では視神経障害は全く発生しない。

問26:2020-国際ガイドラインでマクロライド感受性肺MAC症にCAMよりAZM(アジスロマイシン)を含むレジメンが推奨される理由として、適切でないのはどれですか?

A. 忍容性が高い。

B. 薬物相互作用が少ない。

C. 1日1回投与である。

D. CAMと比較して排菌陰性化達成率が有意に高い。

問27:肺MAC症の治療において、リファンピシン(RFP)はキードラッグであるクラリスロマイシン(CAM)の血中濃度にどのような影響を与えますか?

A. 血中濃度を上昇させる。

B. 血中濃度に影響を与えない。

C. 血中濃度を著しく低下させる。

D. 血中濃度を安定させる。

問22正解:B
根拠: 表1の「線維空洞型・空洞のある結節・気管支拡張型・重度の結節・気管支拡張型」の治療レジメンの項に「SM 15 mg/kg以下(1000 mgまで)週 2~3回筋注 あるいは AMK 15 mg/kg連日or 15~25 mg/kg週 3回点滴,TDMで調節」と記載されています。

問23正解:D
根拠: 表1の「難治例」の治療レジメンに「ALIS 590 mg/日吸入」が記載されています。また、導入部分でも「2021年にはアミカシンリポソーム吸入用懸濁液(amikacin liposome inhalation suspension : ALIS)が難治性肺Mycobacterium avium complex(MAC)症に適応承認された。」と述べられています。

問24正解:C
根拠: 付記の薬剤感受性検査の項に「2018年のCLSI M24 3rd ed16),2023年のCLSI M24S 2nd ed17)(Muller-Hinton培地を使用)に準拠した場合,CAMではMIC≧32 µg/mL,注射用AMKではMIC≧64 µg/mL,ALISでは MIC≧128 µg/mLの場合に耐性と判定される。」と記載されています。

NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題22-24

問22:肺MAC症の治療において、線維空洞型や空洞のある結節・気管支拡張型などの重症例の治療初期(3~6カ月)に併用が推奨される注射薬は次のうちどれですか?
A. カナマイシン(KM)
B. ストレプトマイシン(SM)またはアミカシン(AMK)
C. イミペネム(IPM)
D. チゲサイクリン(TGC)

問23:肺MAC症の難治例(多剤併用療法を6カ月以上実施しても細菌学的効果が不十分な患者)の治療として、A法に加えて併用が適応承認されている薬剤は次のうちどれですか?
A. クロファジミン(CFZ)
B. シタフロキサシン(STFX)
C. リネゾリド(LZD)
D. アミカシンリポソーム吸入用懸濁液(ALIS)

問24:肺MAC症の薬剤感受性検査において、CLSI M24 3rd ed(2018)に準拠した場合、CAM(クラリスロマイシン)が耐性と判定されるMIC値はどれですか?
A. MIC≧8 µg/mL
B. MIC≧16 µg/mL
C. MIC≧32 µg/mL
D. MIC≧64 µg/mL

しまった。

問19正解:B
根拠: 付記の治療期間の項に「2020-国際ガイドラインでは培養陰性化が達成されてから最低 1年間と規定されており,本見解も同様の立場をとる。」と記載されています。

問20正解:C
根拠: 付記のマクロライド耐性化の抑止の項に「キードラッグであるマクロライド(CAMあるいはAZM)の耐性化を抑止することが重要であり,マクロライド単剤治療,マクロライドとキノロンやRFP,などEBを含まないレジメンでの治療を避ける25) 26)。」と記載されています。

問21正解:B
根拠: 表1の「空洞のない結節・気管支拡張型(重症は除く)」のB法:週3日投与の欄に「CAM 1000 mg or AZM 500 mg、EB 20~25 mg/kg(1000 mgまで)、RFP(600 mg)」と記載されています。

NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題19-21

問19:肺MAC症の治療において、排菌陰性化が達成されてから推奨される治療期間は最低何年間ですか?
A. 6ヶ月
B. 1年間
C. 1.5年間
D. 2年間

問20:肺MAC症の治療において、マクロライド耐性化を抑止するために重要とされていることは何ですか?
A. マクロライド単剤治療を行う。
B. マクロライドとキノロンを併用する。
C. マクロライド単剤治療や、EBを含まないレジメンでの治療を避ける。
D. マクロライドの投与量を減量する。

問21:肺MAC症の治療レジメンについて、空洞のない結節・気管支拡張型(重症は除く)の週3日投与法に含まれるのはどれですか?
A. CAM 800mg, EB 10-15mg/kg, RFP 600mg
B. CAM 1000mg or AZM 500mg, EB 20-25mg/kg, RFP 600mg
C. CAM 800mg, SM 1000mg, RFP 600mg
D. AZM 250mg, EB 10-15mg/kg, AMK 15mg/kg

問16正解:D
根拠: 治療開始時期の項に「ただし,マクロライド単剤治療となる期間をできるかぎり避けるように注意する。」と明記されています。

問17正解:C
根拠: 治療効果の判断と治療期間の項に「自覚症状の改善,画像所見の改善は治療反応の評価に有用であるが,原則的に喀痰培養検査により治療効果を判断する。」と明記されています。

問18正解:B
根拠: 治療効果の判断と治療期間の項に「一般的には,4週以上間隔をあけた喀痰培養で 3回連続して培養陰性が確認された時点で排菌陰性化が達成されたと判断し,初回の培養陰性喀痰検体が採取された日を培養陰性化日とする8)。」と明記されています。

NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題16-18

問16:肺非結核性抗酸菌症の治療開始時期に関する基本的な考え方として、適切でないのは次のうちどれですか?

A. 診断の確定は治療開始の必要条件だが、必ずしも十分条件ではない。
B. 喀痰塗抹陰性や排菌量の少ない症例、無症状例では、注意深い観察を前提として個別に検討する。
C. 2020-国際ガイドラインでは、喀痰抗酸菌塗抹陽性あるいは有空洞例には治療開始を推奨している。
D. マクロライド単剤治療となる期間をできるだけ確保する。

問17:肺MAC症の治療効果を判断する際の原則的な方法は何ですか?

A. 自覚症状の改善
B. 画像所見の改善
C. 喀痰培養検査による排菌陰性化
D. 血液検査での炎症反応の低下

問18:肺MAC症において、「排菌陰性化」と判断される基準は何ですか?

A. 2週以上間隔をあけた喀痰培養で2回連続陰性。
B. 4週以上間隔をあけた喀痰培養で3回連続陰性。
C. 症状が完全に消失した時点。
D. 治療開始後6ヶ月経過した時点。

問13正解:B
根拠: 注記11に「MACのGPLと構造が類似するGPLを細胞壁に保有する迅速発育菌(M. abscessus species, M. fortuitum, M. chelonaeなど)では抗GPL-core IgA陽性となりうるため,抗GPL-core IgA抗体を用いて暫定的に診断された肺MAC症ではこれらの菌種による感染および感染症の可能性があることに留意する14)。」と記載されています。

問14正解:B
根拠: 注記12に「細菌学的検査で菌が検出されなければ,典型的な画像所見や,画像所見と抗GPL-core IgA抗体陽性のみでは診断できない。とくに結核との鑑別には注意を払うべきである。」と明記されています。

問15正解:B
根拠: 注記16に「ただし,現在の質量分析機器ではM. intracellulare subsp. intracellulareとM. intracellulare subsp. chimaeraの区別やM. abscessus subsp. abscessus, M. abscessus subsp. bolletii, M. abscessus subsp. massilienseの 3亜種の区別ができないことに留意する。」と明記されています。