0083の論文がInternal MedicineにPublishされたってよ -Differences in Pleural Fluid Amylase Levels in Patients with Malignant Pleural Effusion Based on Cancer Type, Histologic Type, and Epidermal Growth Factor Receptor Mutations-

こんにちわ、0083です。PubMedに収載された順番に出してくタイプの論文紹介です。

DOI: 10.2169/internalmedicine.1804-23

平素より大変お世話になってるIMに掲載いただきました論文は、癌性胸水における胸水中のアミラーゼ値の検討です。

胸水中のアミラーゼ値は癌性胸水で高値になると言われていますが、他疾患との鑑別に有用とまでは言えず、費用対効果の面でルーチンでの測定は勧められていません。しかし組織型や遺伝子変異を踏まえた検討は乏しいため、我々は癌性胸水を収集して検討しました。

過去10年間で362例の癌性胸水をレトロに収集しました。256例が肺腺癌、12例が肺扁平上皮癌、32例が小細胞肺癌、5例がその他の肺癌、31例が中皮腫、26例が肺以外の原発巣からの転移でした。

胸水アミラーゼ値は肺腺癌(median 58.6 IU/L [interquartile range (IQR) 33.8-139.3])で小細胞肺癌(median 37.2 IU/L [IQR 26.3-63.7], p=0.012)よりも有意に高値でした。その他の組織型や原発に比べ肺腺癌の方が高い傾向にはありましたが有意差はありませんでした。

またEGFR遺伝子陽性の胸水アミラーゼは陰性の症例に比べ有意に高値でした(median 95.8 IU/L [IQR 52.7-246.5] vs. median 51.2 IU/L [IQR 27.8-96.9], p<0.001)。

さらに、過去に我々がADA≥40IU/Lの症例で悪性胸水の鑑別に有用と報告したカットオフ値である胸水アミラーゼ≥75IU/Lで症例を分けた場合、胸水アミラーゼ≥75IU/Lの症例の方が全生存期間が長い傾向にありました(log rank test p<0.001, hazard ratio 0.54 [95% confidence interval: 0.41-0.71])。

胸水アミラーゼ≥75IU/L(n=125):生存期間 384日 (95% Cl: 245-523)

胸水アミラーゼ<75IU/L(n=237):生存期間 154日 (95% Cl: 112-205)

以上より胸水アミラーゼ値は癌性胸水のうちEGFR遺伝子変異陽性例で高く、予後を予測する因子になると考えられます。