こんにちわ、0083です。
またまた論文が掲載されましたので紹介です。
今回の論文は結核性胸膜炎の初期悪化(パラドキシカルレスポンス:paradoxycal response)についての研究です。(doi: 10.1016/j.jiac.2023.05.019.)
結核治療中に適切な治療ができているはずが、胸水増多など一過性に病状が悪化するパラドキシカルレスポンスという現象が見られることがあります。これは結核菌による過敏反応であり、治療の失敗ではありません。一般的には自然軽快しますが、一部の症例ではステロイド治療やドレナージを要します。
しかしパラドキシカルレスポンスによる胸水の特徴は示されておらず、またどのような症例にステロイドやドレナージを要するかは不明です。
そこで26例のパラドキシカルレスポンスと184例の結核性胸膜炎を比較しました。
パラドキシカルレスポンスの胸水では胸水中LDH値が低く(中央値 177 IU/L vs. 383 IU/L, p<0.001)、胸水中の糖が高かった(中央値 122 mg/dL vs. 93 mg/dL, p<0.001) 。
しかし胸水ADA値は差がなく、パラドキシカルレスポンスの胸水も結核性胸膜炎と似たデータになると考えられます。
→結核治療中に出現した胸水が結核性胸膜炎のデータに矛盾がなければパラドキシカルレスポンスの可能性が高いと言えます。
結核性胸膜炎の胸水は結核菌による免疫応答が原因と言われていますが、パラドキシカルレスポンスも同様の機序が関係していると言われているため、胸水ADAが高いのは矛盾しないと考えられます。
さらにパラドキシカルレスポンスの症例を複数回の穿刺やステロイド治療を要した群(治療群:n=9)と自然軽快した 群(非治療群:n=17)に分けて検討しました。
その結果、治療群では結核治療開始からパラドキシカルレスポンス出現までの期間が速かったことが分かりました(中央値 19.0 days [IQR: 18.0–22.0] vs. 37.0 days [IQR: 28.0–58.0], p=0.012)。
→結核治療を開始後、3週間以内に急速に胸水貯留が出現した場合、治療介入が必要になる傾向にありました。
この論文は超有名ブログ「呼吸器内科医」でも取り上げていただきました。
てゆーか今日Publishのはずなのに著者よりも早く記事にするなんて、、、凄すぎます!