パネルディスカッションの内容が論文になりました

昨年6月のコロラド大学でのNTM conferencで行われた疫学環境関連のシンポジウムに続いて行われたパネルディスカッションの内容がまとめられています。なかなか大変ですが、こういう内容にも臨床側の意見を聞いてもらうのは重要だと思っています。

環境メインの先生が多いので、内容としてはそちら寄りになっています。

また、サンプリングについてもレビューも出ています。こちらは現在一緒に仕事をしている先生が1stですがとても優秀。

Volume 138, January 2023, 102291

「GLOBAL TUBERCULOSIS REPORT 2022」について

国際部 菅本先生執筆

COVID19の影響により「今や結核対策の進展は2019年を境に逆戻りし、結核終息に向けた世界目標を達成する軌道上から外れている」

結核による死亡数は、「2019年は140万にん、2020年は150万人、2021年は160万人と2年連続で増加しています」

「2021年に結核を発症した人は約1060万人と推定され、この数は2020年の1010万人から4.5%増加しています」

NTMの皮膚反応疫学調査を行った歴史について(10年以上前のボツ原稿から)

結核研究所の図書室でこれらの文献を探して勉強したのは貴重な経験になっています。

この原稿は、他稿との兼ね合いから削除していますのでpublishされていません。

a 皮膚反応検査を用いた研究 

皮膚反応調査は発病ではなく感染(感作)をみていることからNTM症の実態を表すものではないが、環境と宿主の関係の変化を捉えることができる。昭和35 (1960年)の岡田らによる“本邦における非定型抗酸菌の疫学的研究”が最初の報告である1)。これは「精製ツベルクリンの実用化」研究委員会が活動の一つとして行った“我が国で分離された各種非定型抗酸菌により作られた精製ツベルクリンによる疫学的研究”の予備的結果として報告している。当時米国では既にEdwardらによる報告があり2)3)、“我が国においてもこれらの菌による感染がどの程度おこつているかを検討する”ことを目的としており、使用されたツベルクリン液PPD-S、PPD-YおよびPPD-Bは上述の米国Public Health ServiceのDr. Edwardsから贈られたものが使用されている。対象は仙台、東京、名古屋の療養所入所中の結核患者、東京鉄道局管内の健康成人および東京、敦賀、熊本の学童等で、“対象中PPD-SよりPPD-YやPPD-Bがより著明な反応を呈した者は甚だ少なく、PPD-S陰性であつてPPD-Y又はPPD-Bが陽性のものは結核患者、成人には甚だ少なく、学童においても数%を認めたに過ぎなかつた。それ故にこれだけで勿論結論は出せないが黄色菌やBattey菌の感染はあるとしても僅少であることが考えられる”と結論している(PPD-YはM.Kansasii、PPD-BはBatty株から精製)。 

続いて我が国で分離された非定型抗酸菌症からの精製ツを用いた検索が全国11561人を対象に行われたが4)、nonphotochromogenが平均5.5%などで“中高になるに従つてやや高くなる傾向が認められる”と予備調査とほぼ同様の結論に至っている。非定型抗酸菌ツベルクリンを用いた検討はその後抗原の供給がなかったことから、1993年に重籐、田坂らが独自に開発した精製ツベルクリンを用いた調査までなく、またこの後本邦では行われていない5),6)。 

  1. 岡田博, 河盛勇造, ほか: 本邦における非定型抗酸菌の疫学研究. 日本医事新報社11: 14-24, 1960 
  1.  Edwards, L. B. and Palmer , C. E: Am J Hyg 68: 213, 1958 
  1.  Edwards, P. Q and Edwards, L. B: Am J Resp Dis 81: 1, 1960 
  1.  岡田博. 日本における非定型抗酸菌感染の疫学的研究. 日本医事新報 2007: 22-29, . 1962 
  1.  非定型抗酸菌症研究協議会共同研究: 抗酸菌症患者における非定型抗酸菌ツベルクリン反応 –PPDs, PPD-B, PPD-Y, PPD-F, PPD-Cの検討–. 結核 68: 351-360, 1993 
  1.  重藤えり子, 田坂博信: 健常者有志における非定型抗酸菌ツベルクリン –PPD-B,          PPD-Y, PPD-F-. 結核68: 283-291, 1993 

Paradoxical Responseのびぼろ

こんにちわ、0083です。

今日は結核性胸膜炎のparadoxical responseについての備忘録です。

一般的にparadoxical responseはHIVの免疫再構築による病状の悪化を指しますが、HIVによらない肺結核でも同様な反応が起こる事があります。

起こす症状/病状の悪化は、発熱が最多で、その他にリンパ節腫大、ARDS、中枢神経結核、胸腹膜炎などが挙げられます1-3)

その頻度は6-43%で1,3)、胸水に限ると11-23%程度と報告されています4-7)

HIV-positiveの方がparadoxical response(胸水に限らず)のリスクは高く、Odds比は5.0510)

治療開始からparadoxical response発生までの期間は数日から治療後も認められますが1)、約2か月(60日)程度の報告が多く6,9)、臨床症状の悪化よりも画像上の悪化の方が遅い(19日 vs. 36日, p<0.001)との報告もあります1)

paradoxical responseを起こすリスクファクターは論文により様々に報告されています。

・貧血、低アルブミン、低血中リンパ球1)

・胸水中好酸球比率低値6)

・younger age、低アルブミン、低胸水リンパ比率、高胸水好中球比率7)

 →胸水Ly≤90%+胸水Nt≥15%でparadoxical response発症に対し感度58.6%、特異度69%、Odds比3.1537)

経過中に血清リンパ球が上昇、抗結核薬の副作用(薬疹、肝障害)が出現するとparadoxical responseが出現しやすくなります。1,7)

paradoxical responseの機序は結核菌の蛋白成分に対する遅延性過敏性反応が関与していると言われており6,9)、菌が破壊された際に菌体成分が露出するのが原因と考えられています7)。いわゆる結核性胸膜炎も菌成分に対する遅延性過敏性反応が関与すると言われており同じ機序のようです4)

一方でparadoxical responseの機序として、INHによるループス胸膜炎という報告もあります8)

paradoxical responseは通常、抗結核薬の継続で改善しますが、44-56%でステロイドやドレナージなどの治療を要し、特に21.9-40.6%でステロイド治療が必要になります6,7)

ステロイド投与後、21日 (range 10–49)で改善し、臨床症状と画像所見の改善までの日数の差はありませんでした(22 days vs. 19 days)1)。ステロイド投与で改善までの期間は短くなるため症状のコントロールが必要な場合に投与することが勧められます7)

   

参考文献:

  1. Cheng SL, Wang HC, Yang PC. Paradoxical response during anti-tuberculosis treatment in HIV-negative patients with pulmonary tuberculosis. Int J Tuberc Lung Dis 2007; 11: 1290-5.
  2. Eshun-Wilson I, Havers F, Nachega JB, et al. Evaluation of paradoxical TB-associated IRIS with the use of standardized case definitions for resource-limited settings. J Int Assoc Physicians AIDS Care (Chic) 2010; 9: 104-8.
  3. Meintjes G, Lawn SD, Scano F, et al. Tuberculosis-associated immune reconstitution inflammatory syndrome: case definitions for use in resource-limited settings. Lancet Infect Dis 2008; 8: 516-23.
  4. Light RW: Pleural Diseases, 6th Ed. edn: Lippincott Williams & Wilkins (LWW); 2013
  5. Light RW. Update on tuberculous pleural effusion. Respirology 2010; 15: 451-8.
  6. Jeon K, Choi WI, An JS, et al. Paradoxical response in HIV-negative patients with pleural tuberculosis: a retrospective multicentre study. Int J Tuberc Lung Dis 2012; 16: 846-51.
  7. Jung JW, Shin JW, Kim JY, Park IW, Choi BW, Seo JS, Choi JC. Risk factors for development of paradoxical response during anti-tuberculosis treatment in HIV-negative patients with pleural tuberculosis. Tohoku J Exp Med 2011; 223: 199-204.
  8. Hiraoka K, Nagata N, Kawajiri T, Suzuki K, Kurokawa S, Kido M, Sakamoto N. Paradoxical pleural response to antituberculous chemotherapy and isoniazid-induced lupus. Review and report of two cases. Respiration 1998; 65: 152-5.
  9. Cheng VC, Ho PL, Lee RA, et al. Clinical spectrum of paradoxical deterioration during antituberculosis therapy in non-HIV-infected patients. Eur J Clin Microbiol Infect Dis 2002; 21: 803-9.
  10. Brown CS, Smith CJ, Breen RA, et al. Determinants of treatment-related paradoxical reactions during anti-tuberculosis therapy: a case control study. BMC Infect Dis 2016; 16: 479.

TBアーカイブだより 複十字Vol408より

「日本へのBCG導入は、1924年に北里研究所の志賀潔がヨーロッパに渡航した際に、BCGの生みの親であるCalmetteから直接分与されて持ち帰った。」

「Calmetteの現法により忠実に従った継代培養によって志賀→渡辺→今村と引き継がれた日本のBCG株は、その後、1939年に、同年設立された財団法人結核予防会結核研究所に渡され、、、」

貴重な写真が見つかったようです。

pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis  ニューモノウルトラマイクロスコープシリコヴォルケーノコニオシス

とても長い1つの英単語だそうです。

https://www.weblio.jp/content/pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis


超微視的珪質火山塵肺疾患 という訳が見つかりましたが、おそらく呼吸器学会の用語集にもないでしょう。

Google imageでも見つからないですね。