0083の論文がScientific ReportsにPublishされたってよ -Usefulness of gastric aspirates for diagnosing nontuberculous mycobacteriosis-

こんにちわ、0083です。

論文がpublishされましたので紹介させていただきます。

doi: 10.1038/s41598-023-34948-5.

今回の論文は非結核性抗酸菌症(NTM)に対する胃液検査の有用性についてです。

以前、肺結核に対する胃液検査の有用性の論文を書きました。

その論文は超有名ブログの「呼吸器内科医」に取り上げていただいて大きな反響をいただき歓喜に包まれましたね。

肺結核の診断は「3連痰」を検査するより、どこかに胃液検査を入れよう

   

そして今回、満を持してNTMに対しても胃液検査の有用性を検討しました。

初回の喀痰塗抹陰性または喀痰が得られず胃液検査を行った症例を収集し、以下の比較を行いました。

①31例の診断基準を満たす肺NTM症例とその他の疾患421例(肺結核203例含む)と比較

塗抹:感度38.7%、特異度88.8%

培養:感度74.2%、特異度99%

→痰が出ない症例でも胃液検査でNTM陽性になる。(診断基準には含まれないので注意が必要)

   

②肺NTM症例のうちcavity lesionの有無で比較するも塗抹、培養に差は見られず。

→病初期である結節・気管支拡張型(NBtype)にも有用

   

③81例の肺NTM疑い例(1度でもNTMが培養された例)と410例のその他の疾患(肺結核203例含む)と比較

塗抹:感度32.1%、特異度88.5%

培養:感度64.2%、特異度99.8%

胃液でNTMが陽性になった例のうち、肺結核であったのは1例のみであった。

→抗酸菌感染症を疑った症例で胃液検査によりNTMが検出された場合、高い確率で肺結核を除外できる(当研究では98.1%の精度)。

   

肺結核に対する胃液検査の報告と併せて、抗酸菌感染の精査に対して胃液検査は有用であり、肺結核の診断だけでなく、NTMの精査と肺結核の除外にも有用と分かりました。