加湿器はスチーム式/加熱式なら安全?

急に冬が到来してきましたので、そろそろ加湿器の季節ですね。今年も加湿器肺に注意してこまめに加湿器を洗いましょう!

特に超音波式は貯水槽の水温が上がらず菌が増殖しやすいので加湿器肺の報告が多くなっています。

加湿器には超音波式以外にも気化式や加熱式もありまして、超音波式に比べて菌が増殖しにくいというデータがあります(日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌(1883-1273)39巻1-2号 Page65-71(2019.10))。

ですので超音波式以外では加湿器肺は起こりません!

   

と思いました?残念ですがそうは問屋が卸しません。

   

そもそも最初に加湿器肺を報告されたのが1970年のこの↓論文なのですが、なんと加熱式の超音波でした。

DOI: 10.1056/NEJM197008062830601

27名の同一オフィスで勤務していた従業者のうち4名が過敏性肺炎を発症し、オフィスに備え付けられた加熱式の加湿機能つきのエアコンが原因と診断されました。エアダクトから採取した検体からthermophilic actinomycetesが検出され、HPを発症した4例は血清とthermophilic actinomycetesの間に沈降抗体を認めました。

このthermophilic actinomycetesという菌は好熱性放線菌と呼ばれ, 40-60℃の環境で培養されます。

スチーム/加熱式の蒸気は55℃以下と言われており、他の細菌や真菌は増殖しにくい環境ですが、thermophilic actinomycetesにとってはむしろ培養に最適な温度になります。

ちなみにこの菌は農夫肺の原因抗原になることが知られています。(Arch Bronconeumol. 2016 Jun;52(6):321-8.)

   

いやいや、それ空調肺じゃんという方に、thermophilic actinomycetesによる加熱式加湿器による加湿器肺の症例報告もあります。

Chest . 1976 Feb;69(2 Suppl):294-6.

   

もちろん菌の発生しやすい超音波式加湿器肺の方が加湿器肺の報告は多く、発症リスクは高いと考えられますが、スチーム式/加熱式でも加湿器肺を発症する可能性があることに注意が必要です。

どちらにせよ、加湿器肺の予防にためにこまめに加湿器を洗いましょう!