Dr.下田の論文がJournal of Infection and ChemotherapyにPublishされたってよ -Reducing the daily infusion time of peripheral parenteral nutrition to prevent bloodstream infection in hospitalized patients-

ついに出ました、Dr下田イチオシの論文です!

ぜひ良いと思ったら臨床でお役立てください。

https://doi.org/10.1016/j.jiac.2025.102884

以前、末梢静脈栄養(PPN)投与中の血流感染症のリスク因子として、「PPNの1日平均投与時間 ≧12時間かつ全輸液の1日平均投与時間 ≧18時間」という基準を報告しました。(Intern Med. 2025 Jan 1;64(1):73-80.

今回、当院でPPNおよびPPNを含む全輸液の投与時間を短縮(PPNの1日平均投与時間 <12時間かつ全輸液の1日平均投与時間 <18時間)するよう推奨し、その前後で末梢静脈カテーテル関連血流感染が減少するかを検証しました。

対象は2022年8月〜2025年7月にPPNを施行した714例で、2024年5月16日から上記推奨の介入を開始しました。

結果:血流感染症の発生率は介入後に有意に低下しました:介入前 5.3%(27/507)→介入後 1.0%(2/207)(p=0.006)、1000 infusion-daysあたりでは介入前:3.59→0.73。
多変量 Poisson 回帰分析を行った調整発生率比(IRR):0.190(95%CI: 0.045–0.804, p=0.024)
 → 約 81% の感染減少効果

合併症として血管炎が少し増えましたが統計的な有意差はありませんでした。

注目すべきは「点滴の時間を短くするだけ」で血流感染が大きく減ったということです。追加のコストもかかりませんし、投与の工夫をするだけで感染予防できるのは非常に有用です。

単施設で後ろ向き研究の結果ですが、ぜひ皆さん実践してみてください!

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Dr.下田の論文がRespiratory InvestigationにPublishされたってよ -Efficacy of Chest Tube Clamping Prior to Removal in Patients with Pneumothorax-

今回の論文はクランプテストについての研究です。

論文リンクはこちら

皆さん、気胸の胸腔ドレーンを抜くとき、どうしてますか?ドレーンを鉗子で閉塞して気胸が再燃しないかチェックする、いわゆるクランプテストは行っていますか?実はこのクランプテスト、エビデンスが乏しく、どんな症例に行うべきか分かっていません。そこで今回、440例を対象にクランプテストの有用性を後ろ向きに検討しました。

355例がクランプテストを受けており、そのうち41例(11.5%)でクランプ中の再発を認めました。これらの症例はクランプせずに抜去した場合のドレーン再挿入のリスクを回避できたと考えられます。

クランプ中の再発リスクとして、クランプ前の肺拡張不十分(61.0% vs. 29.9%, p<0.001)、フルクテーション残存(82.9% vs. 43.0%, p<0.001)、喫煙歴(85.4% vs. 65.1%, p=0.008)ありが挙げられました。

これら3つのリスク因子の合致数とクランプ中の再発率は以下の通りでした。

3つ合致:クランプ中の再発率=45.2%

2つ合致:クランプ中の再発率=12.7%

1つ合致:クランプ中の再発率=3.5%

合致なし:クランプ中の再発率=2.6%

上記、リスク因子が2つ以上ある場合はクランプテストを実施すべきと考えます。1つ以下の場合は臨床状況を加味して判断する必要があると考えます。

さらにクランプテストを実施せず、ドレーンを抜去し、その後7日以内の再発を認めなかった85例を合わせて検討しても、同様の結果でした。

リスク3つ合致:クランプ中の再発率=38.0%、2つ合致:クランプ中の再発率=10.9%、1つ合致:クランプ中の再発率=2.6%、合致なし:クランプ中の再発率=2.1%

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胸水は全ての診療科で経験する身近な疾患です。でも胸水ってよくわからなくないですか?スッキリ診断できないことも多いと思います。これまで胸水について体系的に学べる和書はほとんどなく、疾患ごとの断片的な情報に頼らざるを得ませんでした。本書はその空白を埋め、胸水の基礎から最新のエビデンス、各疾患における検査値の活かし方までを一冊に凝縮。診断基準やフローチャートも盛り込み、「どの場面でどう使えるのか」がわかりやすく整理されています。呼吸器科はもちろん、幅広い診療科の先生方にとって“胸水をもっとスッキリ診るための頼れる一冊”になるはずです。きっと本書があなたを一騎当千の胸水無双へと導くでしょう!

“この本を手にした時、あなたはもう胸水初心者ではない。
さあ、この冒険の書をめくり、胸水の真の姿を見極めよ!”

そしてなんと!胸水の大家、杏林大学大学付属病院皿谷健教授からご推薦いただきました!
「内科医が日常診療で繰り返し出会う胸水貯留。その背後に潜む真実を探り、著者が一症例ずつ真摯に向き合い得た知見を凝縮。本書は、コモンから稀少例までを網羅した実践的なガイドであり、臨床の現場に挑む読者にとって必ずや頼もしい相棒となるだろう。」
皿谷先生、本当にありがとうございました!

   

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長尾先生の論文がInternal medicineにPublishされました -Campylobacter coli empyema resistant to macrolides and fluoroquinolones: a case report and literature review-

当院に研修に来てくれた長尾先生が症例報告を書いてくれました。

色々な経験をして、臨床も論文もすごい充実してたと思います!またうちに来てくれないかなー

https://doi.org/10.2169/internalmedicine.6100-25

Campylobacter coli による膿胸の1例です。

え、カンピロ?coliって大腸菌じゃなく?って思いますよね。実はCampylobacter coli っていう菌が存在し、C. jejuni同様、食中毒をおこすと言われています。それが膿胸を起こしたという報告はなく、当論文が第一号となります。

しかもニューキノロンとマクロライド耐性で、カルバペネム系薬しか感受性薬がないという臨床的には結構ピンチな状況でしたが、胸水のドレナージが不十分であったため外科的治療を行い、無事治癒しました。

実はカンピロバクターの膿胸の報告は複数あり、論文内で11例のまとめをLiterature reviewをしていますが、C. rectusなど口腔内常在菌がほとんどです。食中毒を起こすカンピロバクター菌でも膿胸を起こすことが発見でした。

ってゆーか、口腔内にカンピロバクターって普通にいるんだ…そっちも知らなかった…

0083の論文がMedicineにPublishされたってよ -High Levels of the Pleural Fluid Macrophage Ratio and Mesothelial Cell Ratio Associated with Malignant Pleural Effusion Diagnosis: observational study-

今回の論文は胸水中のマクロファージと中皮細胞についての報告です。

(DOI: 10.1097/MD.0000000000043775)

胸水の細胞分画は疾患の診断や鑑別に非常に重要な役割を果たしています。しかし胸水中のマクロファージや中皮細胞の比率って活用してますか?Light先生の「胸膜疾患のすべて」には概ね診断に寄与しないことが記されています。でもせっかく測るんだから何か活用できないものか…

そこで1,089例の滲出性胸水(201例の結核性胸膜炎、243例の細菌性胸膜炎、432例の悪性胸水、213例のその他の疾患)を収集し、胸水中のマクロファージと中皮細胞について後ろ向きに調査を行いました。

結果:マクロファージ比率も中皮細胞比率も悪性胸水で有意に高い傾向にありました。

胸水マクロファージの悪性胸水診断に対するAUCは0.690(95%Cl 0.657-0.723)であり、7.5%以上をカットオフ値にすると感度66.8%、特異度64.2%でした。また細菌性胸膜炎において、他疾患より優位に低いことからカットオフ値を7.5%以下とすると感度76.7%、特異度54.0%の精度でした。

胸水中皮細胞は統計的には悪性胸水で有意に高いですが、全ての疾患で中央値0%でした。

これが既存の診断フローチャートに組み入れられるか検討しましたが、決定木により除外されました。

さらに胸水マクロファージと中皮細胞は、その比率が高くなればなるほど、より悪性胸水の割合が上がります。

特に胸水マクロファージ≧30%、胸水中皮細胞≧10%で悪性胸水の割合はそれぞれ71.9%、77.3%でした。悪性胸水以外では特に血胸と乳び胸が目立ちました。

なお、悪性胸水の組織型や原発巣で有意差は認めませんでした。

結論:胸水マクロファージ比と中皮細胞比は悪性胸水で高値になりやすく、特に胸水マクロファージ(≧30%)と胸水中皮細胞(≧10%)が極めて高い症例では悪性胸水の頻度が高くなります。

0083の論文がCureusにPublishされたってよ -Comparison of the Utility of Single-Ear and Binaural Auscultations: A Diagnostic Accuracy Study-

今回の論文は、片耳聴診vs両耳聴診!!

DOI: 10.7759/cureus.88673

片耳聴診とは、通常の聴診器の片方のイヤーピースを外して耳をフリーにします。もう片方の耳で聴診をします。そうすることで患者さんとコミュニケーションを取りながら聴診をすることができます。ではその手技の診断精度はどうなんでしょう?

ということで片耳聴診と両耳聴診の精度を比較しました。

   

35名の呼吸器内科医が参加し、肺音のテストを片耳と両耳でそれぞれ行い、以下の3つの評価項目について比較しました。

①聴診可能音量:小さなボリュームから音量を上げ、聴取可能になった音量を測定。

②肺音テストの点数:録音した肺音を参加者に聞いてもらい、その音の所見を答えてもらう。1問2点づつ計8問(Max16点)。

③肺音テストの解答の自信度:肺音テストに解答した際に、その答えの自信度を%で評価してもらった。

以上を静かな環境(40db以下)と騒々しい環境(50-60db)でそれぞれ実施しました。

【結果】

片耳聴診は両耳聴診に比べ肺音テストの点数と解答の自信度が有意に低い傾向がありました。

肺音テストの点数

静かな環境:中央値 12 点 (range 7-15) vs. 13 点 (9-16), p<0.001

騒々しい環境:中央値 12 点 (range 5-16) vs. 13 点 (8-16), p=0.008

解答の自信度

静かな環境:中央値 60.0% (range 30.0-80.0) vs. 70.0% (38.8-92.5), p<0.001

騒々しい環境:中央値 55.0% (range 26.3-78.8) vs. 65.0% (38.8-88.8), p<0.001

一方で、聴診可能音量は有意差を認めませんでした。

肺音ごとの比較では、wheezeは片耳聴診でも鑑別できる傾向にありましたが、coarse cracklesはやや両耳聴診の方が優れていました。

ちなみに呼吸器専門医の有無、男女で分けても有意差はなく、年齢との相関もありませんでした。

【結論】

片耳聴診は両耳聴診に比べ、有意に精度が低下しました。その差は大きくはありませんが、臨床現場において、特に肺疾患を疑う症例ではより精度の高い手技を実施することが推奨されます。

   

※当研究結果を誹謗中傷する目的で使用することを固く禁じます。

平野先生の論文がInternal medicineにPublishされました -Atypical Computed Tomography Findings of Nonfibrotic Hypersensitivity Pneumonia with Emphysema: A Case Report and Literature Review-

2024年に当院で研修をしてくれた平野先生が症例報告を書いてくれました。

何事も一生懸命やってる姿が好評で、論文も頑張りました。掲載おめでとうございます!

DOI: 10.2169/internalmedicine.5801-25

強い気腫性変化により非典型的な画像所見を呈した非線維性過敏性肺炎の一例です。

1ヶ月前からの呼吸困難で来院し、CTで気腫性変化の間にすりガラス影と粒状影を認めました。気管支鏡検査を行い、また抗原回避で病状改善したため非線維性過敏性肺炎と診断しました。しかしCTは気腫性変化のため典型的な所見とはいえず、診断が難しい症例でした。

興味深いことに、過敏性肺炎の発症前と改善後にもCT撮影しており、気腫性変化を3D画像解析によるThe percentage of low attenuation area (%LAA)で計測したところ、発症前、発症時、改善後で%LAAに変化はありませんでした。つまり、この気腫性変化は過敏性肺炎のものではなく、COPDによるものと診断しました。

また過去に当院で治療をした非線維性過敏性肺炎18例の%LAAを計測しましたが、当症例の%LAAが最も高く、非常に稀な症例であることが示されました。

0083の論文がRespiratory InvestigationにPublishされたってよ -Evaluation of the Pleural Fluid Rivalta Test for Diagnosing Pleural Effusion-

今回の論文は胸水のリバルタ反応についての研究です。

DOI: 10.1016/j.resinv.2025.05.010

リバルタ反応とは腹水における滲出性と漏出性を鑑別する指標として使用される検査です。胸水においても同様に使われることもありますが、実はその精度を検討した報告はありません。そこで当院12年間に胸水精査を行った1,158例のリバルタ反応の精度を検討しました。

1,099例(94.9%)がリバルタ反応陽性、59例(5.1%)がリバルタ反応陰性を示し、陰性例では血清CRP値と胸水蛋白値が低い傾向にありました。

漏出性胸水、結核性胸膜炎、細菌性胸膜炎、悪性胸水、その他の胸水に分類したところ、リバルタ反応による鑑別は漏出性胸水のみが有意でしたが(p<0.001)、他疾患の鑑別には有用ではありませんでした。

リバルタ反応陰性は漏出性胸水の診断に対し、感度35.5%、特異度97.0%の精度であり、Lightの基準による診断精度と比較すると有意に低い結果でした(McNemar test, p<0.001)。またLightの基準にリバルタ反応を加えた場合、純再分類改善度(NRI)は65%と逆に精度が低下してしまいました。

結論:Rivalta反応の有用性はLightの基準よりも低く、胸水検査に組み込むべきではないと考えられました。

0083の論文がRespiratory InvestigationにPublishされたってよ -Positivity of Polymerase Chain Reaction and Grocott Staining in Relation to the Duration from Therapy Initiation to Examination in Pneumocystis jirovecii Pneumonia-

今年3本目の論文、Publishです。

今回の論文はニューモシスチス肺炎(PCP)の検査についてで、杏林大学付属病院、新潟大学医歯学総合病院、埼玉循環器・呼吸器センターにご協力いただき多機関共同研究をさせていただきました(https://doi.org/10.1016/j.resinv.2025.04.013)。

PCPは急激な進行により重篤な呼吸不全を呈することがあり、検査前に治療を行い、遅れて気管支鏡検査を行うことがしばしばあります。しかし、遅れてやった検査が正しい結果が得られるのか分からず、適切な検査のタイミングは不明です。そこで、PCPの診断基準を満たした症例を対象に、検査のタイミングとその結果について検討しました。

4施設から5年8か月の期間で105例のPCPを収集。そのうち、46例がBALを用いたPCR検査を行っていました。治療開始から検体採取までの日数とその結果を図1に示します。治療開始から2日目までは全例でPCPのPCRが陽性でしたが、3日目以降、徐々に陰性例がみられます(グレーの棒線)。

青:non-HIVでPCR陽性例、橙:HIVでPCR陽性例、グレー:non-HIVでPCR陰性例、※HIVでPCR陰性例はなし。

グロコット染色については、陽性率が低く、検査時期に関わらず検査精度が低い結果でした。

青:non-HIVでグロコット陽性例、橙:HIVでグロコット陽性例、グレー:non-HIVでグロコット陰性例、※HIVでグロコット陰性例はなし。

一方でHIVでは治療から検査までの期間に関係なくPCR、グロコット染色ともに全例が陽性でした。

結論として、non-HIVでは治療開始後速やかに検査をしないと偽陰性になる可能性があります。一方でHIVでは治療から検査までの日数に関係なく、高い信頼度が期待できます。

   

ご協力いただきました各施設の先生方、本当にありがとうございました!