より良いNTM診療のために。ATS/ERS/ECSMID/IDSA Clinical Practice Guideline について ③マクロライドの位置づけ

III: マクロライド感受性肺MAC症患者では、マクロライドを用いた3剤併用で治療すべきか、マクロライドを用いない3剤併用で治療すべきか?https://pulmonary.exblog.jp/29085698/
1.マクロライド感受性肺MAC症患者では、マクロライドを用いない3剤併用よりもマクロライドを用いた3剤併用療法で治療することを推奨する(強い推奨)。」

3番目のPICOは、NTMがNTMたる所以というか。。。マクロライドはMAC治療のキードラッグであるにも関わらず、前向き試験2つで充分な有効性が証明されていません。しかし、それでもマクロライドが重要なのだ、、と繰り返し、[強い推奨]と結論しています。このような疾患は他には無いですよね。

紹介されている2つのRCT

① BTSが行った試験(MAC170例)Jenkins  PA, et al. Clarithromycin vs ciprofloxacin as adjuncts to rifampicin and ethambutol in treating opportunist mycobacterial lung diseases and an assessment of Mycobacterium vaccae immunotherapy. Thorax 2008; 63:627–34. クラリスロマイシンを含む多剤併用 vs シプロフロキサシンを含む多剤併用を比較しており、失敗、再発はマクロライド群で優っていたが(13% vs 23%)、全死亡はマクロライド群で高かった(48% vs 30%)

② 日本の研究グループが行った試験(MAC27例)Fujita M, et al. J Infect Chemother 2012; 18:146–51. クラリスロマイシンを含む多剤併用 vs ガチフロキサシンを含む多剤併用しており、陰性化率は両群差異を認めなかった[9/14 (64%) : 11/13 (84.6%)]

この2つの試験の問題点として

(a) サンプルサイズが小さい, (b) マクロライド投与量が少ない (c) 対象がNBタイプが多い実情を反映していない (d) ガチフロキサシンは使用できない(e) 全死亡が高すぎる  ことを指摘しています。


これに続いてガイドラインでは、システマティックレビューなどを用いてマクロライドの有効性を述べていきます。


コメント:BTSのガイドラインでも同様にマクロライドレジメを推奨しています。つまり、自ら行ったRCTは充分でないとしてマクロライドを推奨しています。