より良いNTM診療のために。ATS/ERS/ECSMID/IDSA Clinical Practice Guideline について 吸入AMKとALISについて

VI: マクロライド感受性肺MAC症の患者では、吸入アミカシンを用いて治療すべきか、あるいは用いないで治療すべきか?
1.新たに肺MAC症と診断された患者では、初期治療レジメンとして吸入アミカシンもアミカシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS)の使用を支持しない(条件付き推奨)。」

「2.ガイドラインに基づく治療を6ヶ月以上行った後で治療が失敗した肺MAC症患者では、標準経口レジメンではなくALISを治療レジメンに追加することのみを推奨する(強い推奨)。」

これまでにAMK吸入については複数の報告がありますが、その殆どが難治例に対してのものです。このため、まず初回治療レジメとしては吸入治療は推奨しないと明記しています。ポイントはリポソーマルアミカシン(ALIS)で、Phase 3の結果について詳細に記載しています。ALISはNTMのために作られた始めての薬剤です。現在米国では治療6カ月間を経過して菌陽性である症例に使用が認められています。日本もP3に参加しており、来年くらいから使用可能になる可能性があると言われており、特徴について把握しておく必要があるかと思います。

6ヶ月以上のGBT(guideline based treatment)で培養陽性が持続している成人NTM症患者を、2:1にALIS+GBTあるいはGBT単独のいずれかにランダムに割り付け、ALISは1日1回590mgネブライザー吸入で投与されています。主要評価項目は培養陰性化です。この6ヶ月目までの培養3回連続陰性化は、4か月目までに1回目の喀痰が陰性化しないと達成できないことを意味します。

後半から参加した日本が15%まで症例を占めていますが、CAM耐性例が多かったようです。

喀痰陰性化を達成したのは、ALIS+GBT群224人のうち、65人(29.0%)、GBT単独群は112人中10人(8.9%)(オッズ比4.22、95%信頼区間2.08-8.57、p<0.001)だった。

ガイドラインにも記載されていますが、副作用の把握はとても重要です。主には気道系ですが、治療継続により頻度が減っていくのが分かります。しかし、丁寧な説明、準備がないと離脱例が増えることが懸念されます。既に幾つかのレビューが出ており参考になります。

Amikacin Liposome Inhalation Suspension for Mycobacterium avium Complex Lung Disease.Sr Care Pharm. 2020 Apr 1;35(4):162-170. doi: 10.4140/TCP.n.2020.162..The Use of Amikacin Liposome Inhalation Suspension (Arikayce) in the Treatment of Refractory Nontuberculous Mycobacterial Lung Disease in Adults. Drug Des Devel Ther. 2020 Jun 10;14:2287-2294. doi: 10.2147/DDDT.S146111.