より良いNTM診療のために ATS/ERS/ECSMID/IDSA Clinical Practice Guideline について 週3回レジメは?

XIII: リファンピシン感受性肺M. kansasii症の患者では、週3回の治療レジメンを用いるべきか?あるいは毎日の治療レジメンを用いるべきか?
1.リファンピシン、エタンブトール、マクロライドを含めたレジメンで治療を受けている非空洞型・結節気管支拡張型の肺M. kansasii症の患者では、毎日の内服あるいは週3回の内服のいずれかを支持する(条件付き推奨)。
2.リファンピシン、エタンブトール、マクロライドを含めたレジメンで治療を受けている空洞型の肺M. kansasii症の患者では、週3回の内服よりも毎日の内服を支持する(条件付き推奨)。

以前にも書きましたが、基本的にはMAC治療と同じで良いという判断になります。マクロライドが入っていればNBタイプであれば週3回も選択肢ということになります。

NBタイプのM. kansasiiですが以前当院(複十字病院)症例をまとめて結核誌に発表しています。注目は女性で、若年側は空洞性病変を呈していますが、高齢側はNBタイプだった、、というのがまとめです(全てタイプⅠ)。昔Griffithは当たり前のように女性のNBタイプもあるよね、と書いていたので日本にも居るのだ、、と思った記憶があります。典型的なFCタイプと違って、NBタイプではMACと同様に、M. kansasiiであってもすぐに治療せず経過観察で良いだろうと思います。

肺Mycobacterium kansasii症の臨床・分子生物学的検討

Kekkaku Vol. 90, No. 4 : 453_456, 2015

要旨:〔背景〕肺Mycobacterium kansasii症は,本邦における肺非結核性抗酸菌症の 2 番目の頻度で認められ90%は男性とされる。画像所見では先行する肺疾患を有する場合,そうでない場合も線維空洞型を呈することが知られている。 〔目的〕抗酸菌専門病院における肺M. kansasii症の臨床・分子生物学的検討を行う。〔対象〕2003年 1 月から2010年12月までの 8 年間にM. kansasii症が同定された77例。〔結果〕74例が同症と診断されていた。男性58例(55.5±17.5歳),女性16例(63.2±24.6歳)と女性例が22%を占め平均年齢が高かった。年代別にみると男性は50代にピークを認めたが,女性例は二峰性の傾向が認められ高齢側で増加を示した。画像所見では男性では線維空洞型が90%以上を占めたが,女性例では若年側で空洞所見を,高齢側では結節気管支拡張型を示す傾向が認められた。遺伝子型解析では男女ともに病型にかかわらずhsp 65制限酵素パターン分析でⅠ型であった。〔結論〕女性例の割合が過去の報告よりも大きく,高齢側で患者数が多かった。また病型は若年側と高齢側で異なっていた。宿主因子の差異による影響が推測された。

ここでも注意点はRFPの投与量でしょう(MACの頁でも記載しましたが、キードラッグはRFPです)。CAMを頑張らずにRFPで治療する、、という理解です。実臨床でのデータは、多施設研究でないとなかなか集まらないかもしれません。

3.イソニアジド、エタンブトール、リファンピシンを含めたレジメンで治療を受けている肺M. kansasii症の患者では、週3回の内服よりも毎日の内服を支持する(条件付き推奨)。

RFPメインとするとこれもうまくいってしまう可能性はありますが、エビデンスがないのでINHを含むレジメではこれまで通りの連日が推奨されています。