呼吸と検索すると全集中って出てくるんだけど

最近、急に呼吸に集中し始めた皆様こんにちわ。0083です。

集中大事ですよね。集中しさえすれば鬼の首も取れましょう!

   

最近の0083という男の集中は症例集めに向かっています。

もうこの男はとりあえずn数集めれればいいと思ってるところあります。

でもノートPCを持っていないので、この時代に手書きなんです…

   

200例を超えたところで右腕に違和感が出現。

300例を超えたところで右肩から首が痛くなってきました。

これはマズイwww

  

という事で買ってしまいました!!

購入後、最初にやる事と言えば、やっぱ壁紙設定ですよね!!!笑

   

よし、仕事すっか、、、

「早急に病気の原因を診察し、生活習慣を直し、湿気の強い所を避け、過労を避け、心労や怒りをせず、重いものを持たず、、。その代わり、楽な散歩や観光などで身体を癒やし、他の所へ移住し、環境を変えること。住居では部屋の窓を開けて風通しを良くし、、」

工藤理事長による、TBアーカイブだよりから。

とても勉強になりますので、結核を診療する方に一読をオススメします。

結核薬の無い時代の自然経過についての記述は、稀に見る重症例の所見に一致しこの疾病の全体像をイメージできます。

、、そして、タイトルに書いた記述は正にNTM患者さんに伝える内容と酷似していることに驚かされました。(当時は結核菌による感染症ではなく、体質として理解していたと記載されています)

我々はNTMという、自然環境に遍在する抗酸菌が相手であることを認識しているにも関わらず、その実態に迫るには程遠い位置にいるのではないか、究明すべきテーマが無数にあるのだと気付かされます。

なんでもNTM視点になる事はご容赦下さい笑

Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2020 藤原先生による筆頭論文の紹介

Clinical risk factors related to treatment failure in Mycobacterium abscessus lung disease: 肺Mycobacterium abscessus症の治療失敗に関連する臨床的特徴

Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2020 doi: 10.1007/s10096-020-04026-z.

背景と目的:近年、世界的に肺非結核性抗酸菌(NTM)症の有病率は増加しています。肺NTM症の中で特に肺Mycobacterium abscessus subsp. abscessusM. abscessus)症は難治であることが知られており臨床的重要性は高まっていますが、治療成績に関連する臨床的特徴を評価した研究は乏しいです。

方法:複十字病院で2004年1月から2018年4月までにATS/IDSAガイドラインの基準を満たして診断された肺M. abscessus症75例を後方視的に解析しました。

結果:十分な臨床情報を得た52例のうち19例(42.2%)が治療成功を達成しました。治療失敗群の26例(57.8%)と比較して、ボディマス指数(BMI)(19.8 vs 17.5 kg/m2, P = 0.022)、肺NTM症の既往(26.3% vs 61.5%, P = 0.034)、空洞性病変の存在(31.6% vs 69.2%, P = 0.017)、気管支拡張スコア(3.0 vs 5.0, P = 0.003)で有意差を認めました。多変量解析では年齢(aHR, 0.94; 95% CI, 0.90 to 0.99; P = 0.010)、空洞性病変の存在(aHR, 0.34; 95% CI, 0.12 to 0.94; P = 0.039)および肺NTM症の既往(aHR, 0.28; 95% CI, 0.09 to 0.86; P = 0.026)が治療失敗との関連を示しました。

結論:本研究は肺M. abscessus症患者において、肺NTM症の既往が治療成績の悪化に関連する臨床的に重要な因子である可能性を示した初めての研究です。肺M. abscessus症患者の約20-35%に肺NTM症の既往があることが報告されており、肺NTM症の既往があることは珍しいことではありません。肺M. abscessus症の特徴をより深く理解するために、今後の研究では本因子を独立して解析する必要があると考えています。

NIH 米国国立アレルギー感染症研究所のstaff scientist 酒井俊祐先生 による「免疫抑制性受容体と結核免疫」の解説

酒井先生は面識ありませんが、かなり有名です。PD-1と結核については、negativeに影響することを早くから報告されていました。今回、2ページで結核だけでなく、NTMについても解説してくれています。

[抗酸菌感染症における免疫チェックポイント阻害によるT細胞応答増強の宿主への影響は、標的とする免疫抑制受容体や感染している抗酸菌種によって全く異なる可能性を示唆している] ということで、今後も発展が期待されます。

どうやらイケメンのようです

M. abscessus complex の治療期間について ATS/ERS/ECSMID/IDSA Clinical Practice Guideline より良いNTM診療のために

私見です。

Korean J Med 2019;94(4):343-352.より

M. abscessus complexの治療は本当に難しいです。前回の投稿では、治療は「初期」「維持」という表現で解説しました。しかし、M. abscessus subsp. abscessusの場合は多くは陰性化状態を「維持」できず持続排菌となるため、増悪してきたら「初期」治療を再度行うことになります。このため、「症例で学ぶ非結核性抗酸菌症」では「維持」ではなく「継続」という言葉を選びました。

また初期(initial)は繰り返される現状からはintensive「強化」「集中」としても良いと考えています(私見です:英語表現ではこのようにされていません)

ガイドライン記載のとおり、M. abscessus患者さんは、治療前に専門施設へ紹介またはセカンドオピニオンすることが望ましいです

XXI: 肺M. abscessus症の患者では、短期治療あるいは長期治療のいずれを用いるべきか?
1. 肺M. abscessus症の患者では、短期治療あるいは長期治療のいずれのレジメンも使用すること、および専門家にコンサルトすることを支持する(条件付き推奨)。

エビデンスが乏しいところなので、このような推奨になっていると思われます。

この部分は亜種というか、erm活性の有無で大きく左右されます。C28とM. massilienseは陰性化率が高いので、MACと同様に菌陰性12か月以上(当院データから言えば15か月から18か月)で止めています。

M. abscessus. subsp abscessusではどうでしょうか。最初に書いたように、難治となる可能性は高いので、持続排菌となれば治療期間(いつまで)を判断する段階に達しません(手術併用のときくらい)。しかし、中には幸い陰性化を得る場合があります。この時は、長期に治療したほうがよいでしょうか。私見では、やはり止めるべきときは止める、というスタンスです(つまり15-18か月)。しかし、中等症以上でようやく陰性化を得たような症例では、長くなる傾向はあると思います(終了後はかなり慎重にフォローします)。

補足コメント

・CAM+αの2~3剤で継続治療中にMACがしかも耐性化して検出されないか、という懸念(特にMAC既往がある人には注意が必要では)。

・M. abscessus subsp. abscessuでは、MAC以上に早期に外科適応判断が必要

・M. massiliense、C28sequavarは特にマクロライド耐性化させてはいけない。このため、菌量が多い状態から外来内服治療を行ってはいけない(患者さんに初期治療の重要性をしっかり説明する)。

・「強化治療でAMK+IPM/CSで初期を行い、CAM+Faropenemで継続治療した」が悪化する、という患者さんが紹介されるパターンが多いように思います。繰り返しになりますが、このような充分なレジメができない場合は、治療前に紹介またはセカンドオピニオンして頂くのが良いと考えています(Faromは当初より耐性で、継続治療はほぼ行っていない状態です)

雑誌 複十字の no395が発刊されました

表紙は塔の先が赤く予防会カラーに染まった田無タワー(正式名称: スカイタワー西東京). 結核予防週間の9/24-30.

裏表紙には、名誉所長の石川先生がラジオやケーブルテレビに出演した話題

そしてこの雑誌の特徴とも言える、厚労省の関係局の方々の就任挨拶文。感染症対策には連携は欠かせません。

そして、その下に目次があります。本号も素晴らしい内容ですので、幾つかを紹介していきます。

今年はコロナの影響で検診受診者が大きく落ち込んでいることから、結核、肺がんなどの発見の遅れが懸念されています。

スタッフのFBなどから

本日は当直明けに見た朝焼けはきれいでしたが、現在日中は曇っていて風が強いです。こちらは昨日のFBから。病院の真向かいの景色です。

NTM症の併存症を分析した論文がpublishされました

BMC Pulm Med. 2020 Oct 9;20(1):262. doi: 10.1186/s12890-020-01304-6.

慶應義塾大学感染症学講座の宇野先生が筆頭です。NTM症の無い集団と比較解析しています。この種のデータは世界的にも乏しかったのではないでしょうか。色々と参考になるデータだと思います。

一方で、日本のレセプトデータは、検査結果との紐づけがなく、検診など他のシステムとのリンクがないため、これらを統合して解析することができません。

カナダからは、保険システムと菌データを合わせた解析、最近では韓国から検診システムとのリンク?らしき報告も出てきており、日本もさまざま改善・発展することが期待されます。

めぐりあい、秋

追い詰められたらとりあえず「コムギ・・・?」って言ってみる皆様こんにちわ。0083です。

いつの間にやら秋ですね。

往診中の景色が変わっていてびっくりしました。

秋に多くなる呼吸器疾患って何があったかなーと調べてたらこんな論文がありました。

市中肺炎を季節ごとに見てみましょうという南イスラエルの報告です。

秋に肺炎球菌が多くなるとの事。日本と気候が違うのでデータをそのまま当てはめる事はできません・・・が、なんとも色々な事やってる人がいますね。

   

・・・お前が言うなって声が聞こえて来ました笑

   

そんな中、0083は本気でHunter×Hunterが連載再開するという妄想に取りつかれ、今週のジャンプに掲載されていない事に憤慨しました。

秋ですねぇ・・・

   

といったところで一句。

秋来れど

   わいわい見ながら

         引きこもる

              0083

どんだけわいわい推すんや!

竹内先生による、筆頭論文の解説です

新しい手法を開発する、というのは素晴らしいです

先日、上梓した論文を概説させていただきます。理解を助けるため、原文とは構成や表現、図表など異なります。正確にはは論文を参照ください。

【タイトル】

気管支動脈塞栓術前のCT Angiographyにおける肺動脈shuntの描出能について: 予備的研究

【背景・目的】

喀血において体循環系の動脈から肺動脈へのshunt血流は低圧系の肺循環に高圧系の体循環が流れ込むことによる圧負荷や局所の血流の上昇により、出血の原因、喀血量の増加をもたらすものである。従来、肺動脈shuntの診断は血管造影による直接描出するほかになかったが、侵襲的で術者の技量や判断に左右されることも多かった。本研究において術前のCT Angiographyにおいて肺動脈shuntの描出を試み、その診断能を検討した。

【仮説】

大動脈と肺動脈に濃度差があれば,CT Arteriography(CTA)による体循環系-肺動脈シャントの描出が可能では?

大動脈のCT値 > 肺動脈のCT値

右下葉の肺動脈枝内に高濃度の造影剤は体循環の動脈から肺動脈shuntを介して流入している!!

【方法】

35回の血管造影、CTAを行われた患者において大動脈のCT値 > 肺動脈のCT値となるようなCTA(診断可能CTA)の要件を検討した。

次にshunt評価に適した23例において肺葉ごとの肺動脈shuntの有無について血管造影所見をGolden standardとして感度・特異度を求めた。

造影剤注入プロトコールA(初期版) 7例

300mgI造影剤3ml/sec 2ml/kg 注入し、33秒尾後に撮影

造影剤注入プロトコールB(改良版)28例

370mgI 造影剤 3ml/sec 1.3ml/kg +生理食塩水3ml/sec 30ml下行大動脈にROIを設定し,130 HUに達したのち10秒後に撮影開始

改良版では高濃度の造影剤を少量注入した後、生理食塩水で後押しすることによって肺動脈内の濃度を低減させた。撮影タイミングも大動脈内の濃度をモニタリングして決定

【結果】

診断不能CTAとなる要因

multivariable analysisでは注入時間が予測因子となった。

【考察】

血管造影前のCT Angiographyで肺動脈shuntの描出が可能

CT Angiographyは肺動脈の濃度が低くなるように少量の高濃度造影剤を生理食塩水で後押しすることが重要

術前の肺動脈shuntに有無、部位をよく検討してから気管支動脈塞栓術を行うことで治療の奏効率を向上させることが期待される。

【結論】

肺動脈の濃度を低くして、肺動脈shuntによる高濃度造影剤をdetectしよう。

上記のFigureを覚えておこう!

喀血のBAE前にはCT Angiographyで肺動脈shuntの情報を確認しよう。