ATS/ERS/ECSMID/IDSA ガイドライン から

治療内容に移ります。まずMACからです。

肺MAC症の治療では、アジスロマイシンベースの3剤治療が推奨されています。

アジスロマイシンがクラリスロマイシンよりも忍容性、コンプライアンス、薬剤相互作用の面から優れていると判断され、第一選択となっています。日本では連日の場合、クラリスロマイシン4錠からアジスロマイシン1錠へ減らすことができるのでその恩恵は大きいと思われます。

そして、新しいガイドラインでは病型、進行度、治療経過(難治性)によって3つに分けています。具体的には

左側(8番目のPICO)、空洞の無い結節気管支拡張型では、週3回治療を推奨しています。

中央の、有空洞例、重症や進行性の気管支拡張(あるいはマクロライド耐性例)では初期からアミノグリコシド併用を推奨しています(マクロライド耐性例の記載は乏しいです)。ここで挙げられている”気管支拡張の程度”については具体的な記載は無いため、主治医判断になると思われます(今後の検討課題になります)。

そして、特徴ともいえますが、右側、6カ月以上治療を行って培養陽性が続く症例では、アミノグリコシド注射またはALISが推奨されています。つまり、重症例の中で点滴に加えてALIS吸入のオプションが加わっています。

繰り返しになりますが

空洞の無い、気管支拡張が強くないNB型症例では3剤の週3回です。

空洞の無いNB型を経過観察して、空洞が出現したり気管支拡張が強くなる前に週3回治療をするのが妥当かと思われます。空洞ができてしまったら、早期に連日による治療導入が必要です。

週3回療法を行うのであれば、AZM500+RFP600+EB1000が一番投与しやすいでしょう。投与するときに抵抗(心配)を感じるのは、土日が空いていいのか、RFP600は問題ないのか、EB1000は多い、または足りないのではないのか、だと思います(海外ではRFP300mg錠がありますので2錠で済みますが、日本では150mgカプセルを4C、EBは400㎎錠が通常ですが日本では250mgを4錠ということになります、つまり、海外はAZM2+RFP2+EB3の7錠に対して、本邦はAZM2+RFP4+EB4=10となり、マクロライドをCAMにする場合は1000mg5錠なので13個となり海外の倍内服することになります。日本の患者さんはよく耐えているね、、と言われたことがありますが、、知らないと怒りようがないですが合剤できませんかね)。

土日が空くことについては、「大丈夫ですよ」でOKです。土日は休息日です。RFP、EBの投与量についてはデータがありません。EBは制約があるので1000以上は控えるにしてもRFPは推奨のとおりにしています(450で問題なければ600にします)。

週3回療法は、切れは少し悪いですが、忍容性が高い、という印象です。週3回療法で6カ月目で陰性化が得られない場合には連日への切り替えをします(投与量変更時に注意)。