肺炎の原因菌ってどうしたら分かるのだろう…

酒の肴はあぶったイカとチーズが前菜で魚料理の後にメインの肉料理とデザートにはアイスの乗ったクリームブリュレで良い皆さん、こんにちわ。0083です。

私ごとで申し訳ないのですが、以前に杏林大学病院呼吸器内科の皿谷先生と一緒にグラム染色の論文を書かせていただいた事があります。

Medicine (Baltimore). 2018 Apr;97(14):e0150.

貪食像は感染の証拠って言われてましたけど、 菌ごとに貪食のされやすさが違っていて一概に感染の証拠と言えないと思っています。

   

そもそも、どうして痰で原因菌を検出できるんでしょう?

有象無象の菌のいる口腔内を通ってきた痰で原因菌を特定してしまって良いのでしょうか?

調べてみたら、どうやらこの論文が元ネタの一つのようです。

J Clin Microbiol . 1977 Oct;6(4):396-9.

Geckler先生の論文で、ここからGeckler分類が出来たと思うと歴史を感じます。

TTA(気管を穿刺して下気道から痰を採取)と排痰の検体での培養結果を比べています。

その結果、Geckler4、5、6群の痰であればTTAとの一致率が高いと言えました(over all agreement: 4群 100%、5群 74%、6群 93%)。

そこから良質な痰であれば下気道の痰と同様に考えてよいだろうという事になるんですね。

逆にGeckler1-3群ではover all agreement 27%と全然一致しないようです。やっぱ唾が入っちゃダメなんでしょうね。

   

え、てゆーか、TTAって気管を経皮的に刺してたの!?下気道の痰を採るために!?

   

でも排痰での培養はなかなか良い検体とれないんですよねー

そもそも下気道の痰であっても気管支拡張症などはモラクセラやインフルエンザ桿菌、緑膿菌が常在していて、本当に原因菌か判然としないでしょう。

まぁそれごとカバーしちゃうんですけど、、、

んー、なんかもっと良い方法がありそうな気がしますよねぇ

   

というのを何百、何千という呼吸器内科、感染症科の先生方が悩んでるんだろうなぁ笑


PCD(原発性線毛機能不全症候群) Awareness Monthは10月ですが、日本では毎月です!

原発性線毛機能不全症候群については、本邦でも充分な情報が共有されていないこともあり、呼吸臨床という雑誌に総説を書いていますのでご一読頂ければ幸いです。https://kokyurinsho.com/lungdisease/e00103/

要旨より「原発性線毛機能不全症候群(PCD)は主に常染色体潜性またはX連鎖性遺伝形式をとる先天性疾
患の1つで,気道上皮細胞などに存在する運動性線毛や精子鞭毛の機能的障害を来し,臨床的には副
鼻腔気管支症候群の特徴や不妊症,内臓逆位など呈する症候群をいう。気道クリアランスの障害に
より進行例では気管支拡張の進展により呼吸不全を来す。」

写真は既に呼吸不全となった状態ではじめて当院へ紹介された症例です。気管支拡張が広範に認められます。原発性線毛機能不全症候群は、若年のうちに診断し、しっかりと呼吸器専門医によるフォローを受ける必要があります。

治療は、理学療法および下気道慢性感染のコントロールです。後者に対しては抗生剤治療が主体となりますが、進行期にはより難治な緑膿菌持続感染となり、主要な薬剤に耐性を示すと管理が困難になっていきます。

〇 子供のころから慢性副鼻腔炎を患っている(治りにくいと言われている方)

〇 小児喘息と言われていたが、黄色い痰が続いている

〇 咳痰が季節性なくある

〇 肺炎を子供のころから複数回罹患している

〇 マクロライド(クラリスロマイシン、エリスロマイシン)を長期に処方されているが改善が乏しい

〇 内臓逆位があると言われている

〇 不妊治療歴のある

PCD患者さんの多くは未診断であり、長期通院を余儀なくされているのに、徐々に肺機能は低下し、中には酸素療法を必要とする方もいます。特効薬が無い状況にもかかわらず、未だ難病認定されておらず充分なケアが受けられてません。

第一に、正しく診断し呼吸器専門医の診療する体制を作る必要があります(特効薬が無くとも、診断そのものが正しい管理へと繋がり、肺機能の維持、予後の改善に繋がります)。呼吸理学療法の介入も重要なポイントです。耳鼻科、呼吸器科、小児科、婦人科に通院している患者さんで、上記のどれかに当てはまる患者さんがいたらPCDを疑いましょう。