グローバルTBレポート2020を読むーとっても役立つ結核に関する知識

日本にいると、高齢者結核のイメージが強いですが、若年結核が増えてきたことで世界の動向に関心をもつ人は増えたのではないでしょうか。外国人TBと診断したら、出身国の結核疫学情報は知りたいですね。

グローバルTBレポート2020 について小野崎先生が解説されています。

小野崎先生は「結核研究所からWHOへうつられて本部(ジュネーブ)で働いている」と聞いたことがあるのですが、予防会国際部付部長となっています。

予防会に戻られたということなのかなー。

という感じで、国際部の方と会ったり話したりできる機会はないのです。。(私も一昨年瀋陽に日中交流で行かせて頂いたときにはじめて岡田部長とお話しできた気が、、、)

前置きが長くなりましたが、これを読むこと世界の結核(グローバルTBレポート2020)が身近に感じられます!!。

世界の結核分野に興味がある方は、国際部へ連絡ください(勝手に書いていますが、、笑)。

PCD(原発性線毛機能不全症候群) 今月もAwareness Month!!

PCDは、線毛の構造異常のパターン(異常遺伝子)から臨床経過に違いがでることが分かっています。重症化しやすいタイプでは、若年でも呼吸機能低下が顕著となってくる方がいます。

しかし、仕事をしている方は下気道感染の増悪を来しても、治療入院を躊躇されることがあります。また、経済的な心配も口にされることもあります。

PCDは難病に指定されていませんhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html。小児領域では慢性特定疾病にあげられているのにも関わらず18歳を超えると補償を得られなくなりますhttps://www.shouman.jp/disease/details/03_05_007/。

何とかしなくてはいけません。

MAC症の新たな宿主因子をGWASを使った研究により明らかにしています。

ようやく形になってよかったです。慶応大学(南宮先生)、理科研(大前先生)が中心となり、当院含め沢山の施設が参加しています。このレベルの研究というのは大きな力がないと完遂できませんし、その中でも苦労というのも知りました。コロナ研究の遂行にも繋がっている様子で素晴らしいの一言です。また、さらに世界レベルで継続発展していくことが期待されます。

結核診療に役立つ知識

今回は座談会の紹介です。ダウンロードにファイルがあります。

■都内の病院がコロナ診療へシフトしたため、結核患者が清瀬へ集中                      → 退院後は地元に戻るので専門治療の継続性について問題がある → 審査会を中心に適正化を行っている

■低蔓延の県では、コロナに結核病床が使われると、結核診療ができる施設が限定される            →実践の中で呼吸器科の連携ができた

■全ゲノムによる疫学調査 → 信頼してもらえる

■慢性的な咳痰では高齢者結核の診断は困難 → キャチコピーを変えるべき(2週間続く咳)

■積極的な喀痰検査で死亡後の届が増えた

■コロナ対策で結核の経験が活きているが、マンパワーなどの制限が明確に → 将来的な改善を期待

結核に役立つ知識・・複十字397号が出ましたー

全国大会の現地開催がコロナで中止になってしまったようです。

コロナで結核診断が遅れている可能性が指摘されていますが、、今後の動向を注視していきたいです。

自動販売機が増えているようです。私は、ラインスタンプとぬいぐるみを増やしてほしいですー笑

ツベリーナってぬいぐるみあるのかな。。つくってほしい。。

キノコの良いとこ悪いとこ

「え、パクチー食べれないの?それ本物のパクチー食べてないからだよ!パクチー食べないとか人生損している」と言われると能面みたいな顔になる皆さんこんにちわ。0083です。

また面白い論文がありましたので、びぼろとして書かせてください。

Chest . 2002 Sep;122(3):1080-5. doi: 10.1378/chest.122.3.1080.

キノコの胞子が過敏性肺炎や喘息、organic dust toxic syndrome(ODTS)を誘発する事があるのは有名です。

この論文ではマッシュルーム栽培を2年間行った63人を対象に病気の発症を見たそうです。その結果、、、

42人(67%)が慢性咳嗽を認め、2人(3.2%)が過敏線肺炎、6人(9.5%)がODTS、18人(28.6%)が後鼻漏、15人(23.8%)が喘息、3人(4.8%)が好酸球性気管支炎を発症しました。

え、多くない!?

その原因として、農場内にエンドトキシンが発生しているのではとの事!

え、出てんの!? そんな訳ないでしょ・・・

出てんのかい!!

   

加えてこんな論文もありました。

Int Arch Allergy Immunol. 2005 Jul;137(3):241-8. doi: 10.1159/000086337.

マッシュルーム栽培に携わる114人のうち、4人がHPと診断されKL-6が981±331IU/Lであったと。

以外と低くないですか、KL-6!

HPはKL-6高値というのが一般的で、median 2700 U/mL(IQR:1510-5710)という報告があります。(Respir Med 2015, 109(12):1576-1581.)

   

先日ご紹介させていただいた通り、エンドトキシンが関係しているかもしれないと言われている加湿器肺はKL-6が正常値の事が多いと報告 (Respirology . 2021 Feb 16. doi: 10.1111/resp.14014.) しましたし、何か共通の要素があるかもしれませんね!

   

あ、ちなみにキノコの良いとこは美味しいところです。

NTMの勉強会を行いました

今回もハイブリッドで、清瀬と茨城、群馬を繋げて行いました。

WGS、マウス、臨床、PK/PDに関連した発表が続いてとても濃密な時間となりました。様々基礎の先生方と絡んで勉強できているのは有難いことです。

倉島先生からは結核発病のレクチャーをしてもらいました。名著「結核の病理」が、現代の基礎研究でどこまで進化して理解されているのか解説されとても勉強になりました。

ここには前の机に1人(私)と画面左外にもう2人いるので6人、WEBでは3名が参加しています。

0083の論文がRespirologyにpublishされたってよ -Features of humidifier lung and comparison with summer-type hypersensitivity pneumonitis-

明日から頑張るって言っててどうせ口だけでしょと思われているのを知りつつ本当に翌日に人が変わったようになったら凄いと思うから明日から本気を出す皆様、こんにちわ。0083です。

0083の論文がpublishされた事をdbcntm先生にご紹介いただきました。ありがとうございます、先生。

ご指名いただきましたので少しだけ論文の内容を紹介いたします。

以前、加湿器肺の学会発表をさせていただいた時に過去の報告集めてみたところ、普通の過敏性肺炎とは特徴が違いそうだぞという事に気がづきました。

そこで、当院で診断された7例の加湿器肺と26例の夏型過敏性肺炎を比べました。(1999年4月~2018年3月)

その結果、

・KL-6が低い(加湿器肺 median 316 U/mL vs 夏型 median 1690 U/mL, p<0.001)

・肉芽腫が少ない(加湿器肺 0% vs 夏型 56.3%, p=0.045)

・KL-6<674 U/mLが加湿器肺の診断に対し、感度85.7%、特異度95.7%、Odds比83.4と有用。

という特徴を明らかにしました。

(なお当論文はCORRESPONDENCEです)

dbcntm先生には多大なご協力をいただきました。本当にありがとうございました!

下田先生の論文がRespirologyにpublishされました!

最近の論文執筆ペースは異常なほどで、いつ書いているのかな、、と思うほどです。

ちょうどこの論文を再度とりかかるあたりから「覚醒」したのでは、、と思っています(本人に聞いていないけど)

経過を知っているので個人的にも喜びが大きいです。

東邦大学の坂本先生、本間先生のグループが同様の検討をされて素晴らしい論文をRespiratory Medicineに報告されています。下田先生の論文も以前から取り組んでいていましたが一足先にpublishされています。加湿器肺とHPの比較はこの2本を読めばばっちりです!!

後日内容解説をお願いしましょう!!

ATS/ERS/ECSMID/IDSA ガイドライン から・・M. kansasiiの治療について

M. kansasiiは1980年代に20%近くまで増えたという報告がありますが、当院ではこの20年間はほぼ5-10例/年で推移しています。また、RFP耐性例は1例もありませんでした。女性例のM. kansasii症は以前も当院でデータを紹介していますが、若年は空洞形成が多いですが、高齢ではNBタイプが多いです。このため診断即治療とせず、MACと同様にwatchful waitingをします。また、治療スタンスもほぼMACと同じということがガイドリアンに記載されており、NBタイプの治療をするのならばRFPベースでマクロライド+EBを加えた3剤治療で週3回投与します。連日の場合は、古典的なINH+RFP+EBか、マクロライド+RFP+EBの連日になります。いずれにしてもRFPベースであることを忘れないようにしましょう(注:MAC症ではRFPの意義が疑問視されており、RFPを減量して投与しているかもしれませんが、M. kansasiiではキードラッグなので連日では10mg/kg、TIWでは600mgをしっかり投与しましょう)。