論文の楽しみ方は人それぞれ

FFよりもDQ派の皆様こんにちわ。0083です。

気胸の合併症を調べていたところ、↓の論文を見つけました。

Thorax . 2015 Feb;70(2):127-32. doi: 10.1136/thoraxjnl-2014-206114.

12年間のコホート研究(単施設)で9320回の胸水穿刺を調べ、気胸が0.61%、出血が0.18%、再膨張性肺水腫0.01%で見られたそうです。

   

いやいやいや!! 12年間!? 単施設で9320例ってどんだけ集めたんですか!

症例のbaselineを見ても、ちゃんと1例ごとの情報収集必要ですよ、これ。

体感的には1時間で15例できれば良いといったところでしょうか笑

という事は全部集めるのに621.3時間で、1日3時間やると207.1日間、週5日やったとして41.4週間、正味9.6ヵ月…

   

いやいやいや、1人でやってる訳ないじゃないですか!

5名のCo-autherでしたので、5で割ると1人1864例ですね。

   

いやいやいや、共用のファイルメーカーとかに穿刺する度に入れていっただけですよね。それならデータ集めの必要ありません。

え、だとすれば12年前からずっとやってたの!?

   

てゆーか1年平均777例の胸水穿刺って多くないっすか!? そして縁起が良いw

ちなみにこの前調べたら当院の6ヵ月で胸腔穿刺159例でしたのでそれがどれだけすごいデータか分かります。

この研究、想像を超えているwww

ちなみに自分の集めた症例の最高記録は712例です。まだまだひよっこだという事が分かりました(泣

読んでくたびに身震いする論文でした。

飯塚先生による筆頭論文の紹介(AIを使って顔写真のみで認知症を診断)

飯塚先生(認知症疾患医療センター長)は認知症専門外来をされています。当科は、認知症以外にも脳神経疾患で日々お世話になっています。また、飯塚先生は、認知症診断における世界最先端のAI研究をされており、今回発表された論文の紹介を作成して頂きました。難しい部分は抜きにして私でもわかりやすい解説になっています。

「AIが顔写真で認知症を診断する!?」

AIによる顔写真からの認知症診断の研究が、読売新聞に載りました。

AIを使えば、90%の確率で、顔写真から正常とアルツハイマー型認知症が区別できるという研究結果でした。

これは、1月26日の読売新聞に掲載されました。

元の論文はこちらです。

https://www.aging-us.com/article/202545

4年前からAIで認知症の脳画像から診断する研究をしてきました。それはそれで、成果がありましたが、同時期に、東大老年病科の亀山裕美先生が、認知症のエキスパート5人で、認知症を含む高齢者の顔写真を見て約80%近くの正解率で診断ができたと報告しました。であれば、AIを使えばもっと精度が上がるだろうと考え、今回の論文ができました。

いずれは、病院玄関の体温モニターのような感じでスクリーニングができると考えています。

この亀山裕美先生のご主人は、私の長年の共同研究者で、かつて10年ほど当院に非常勤で核医学の読影に来られていました。そういった縁での施設間共同研究です。

ちなみに、東大のAI用のPCは当院核医学科の深澤技師が亀山先生の依頼でセッティングに行きました。

さて、顔診断の実用性についてですが、読売オンラインの多くの書き込みにもありましたが、高齢者の運転免許も可否のスクリーニングにも使えると考えています。

さらに付け加えれば、治療により表情が改善する場合もあります。したがって、治療効果の判定にも使用できると考えています。このように、いろいろな可能性がありますが、まだ認知症の病型の鑑別にまでは至っておりません。そういった課題も多くあります。