呼吸器学会、感染症学会が同時開催…

金曜日は呼吸器学会の朝のセッション(国際フォーラム)に出てから、感染症学会のパシフィコ横浜ノースへ。Webで見ることができますが、演者は現地参加が基本に。梯子している先生を複数見かけました笑

感染症科でNTMを専門にしている先生は少ないですが、米国では半数がIDなので、感染症科医自体の増加とその中で興味をもって頂ける先生が増える事を期待しています。

土曜日はシンポジウムとコーヒーブレークセミナーで講演しました。会場収容人数の170% の入場ということで、正直酸欠気味でしたが、多くの先生に聞いて頂けて良かったです。気管支拡張症に対する関心が高まってきていると感じました。

日曜日はミニシンポジウムで発表、、頑張りました。

座長の千葉大の猪狩教授から貴重なコメントを複数頂きました。論文作成に活かしたいです。

時田先生の発表:完成度の高いポスターでした!

書籍も好評頂いている様子で良かったです。

伊藤先生が気管支拡張症に関する総説を書きました(臨床雑誌 内科:皿谷先生企画)

orphan diseaseとして捉えられている気管支拡張症について取り上げてもらえることはありがたいことです。先日の疫学論文にもあるように、気管支拡張症の有病者は上昇に転じていると考えています。希少疾患も含め(NTMと一緒に)認知度を高めていきたいです。

こういう雑誌で良質な企画ができる先生というのは限られているだろうなーと思います。

0083の論文がInternal MedicineにPublishされたってよ -Differences in Pleural Fluid Amylase Levels in Patients with Malignant Pleural Effusion Based on Cancer Type, Histologic Type, and Epidermal Growth Factor Receptor Mutations-

こんにちわ、0083です。PubMedに収載された順番に出してくタイプの論文紹介です。

DOI: 10.2169/internalmedicine.1804-23

平素より大変お世話になってるIMに掲載いただきました論文は、癌性胸水における胸水中のアミラーゼ値の検討です。

胸水中のアミラーゼ値は癌性胸水で高値になると言われていますが、他疾患との鑑別に有用とまでは言えず、費用対効果の面でルーチンでの測定は勧められていません。しかし組織型や遺伝子変異を踏まえた検討は乏しいため、我々は癌性胸水を収集して検討しました。

過去10年間で362例の癌性胸水をレトロに収集しました。256例が肺腺癌、12例が肺扁平上皮癌、32例が小細胞肺癌、5例がその他の肺癌、31例が中皮腫、26例が肺以外の原発巣からの転移でした。

胸水アミラーゼ値は肺腺癌(median 58.6 IU/L [interquartile range (IQR) 33.8-139.3])で小細胞肺癌(median 37.2 IU/L [IQR 26.3-63.7], p=0.012)よりも有意に高値でした。その他の組織型や原発に比べ肺腺癌の方が高い傾向にはありましたが有意差はありませんでした。

またEGFR遺伝子陽性の胸水アミラーゼは陰性の症例に比べ有意に高値でした(median 95.8 IU/L [IQR 52.7-246.5] vs. median 51.2 IU/L [IQR 27.8-96.9], p<0.001)。

さらに、過去に我々がADA≥40IU/Lの症例で悪性胸水の鑑別に有用と報告したカットオフ値である胸水アミラーゼ≥75IU/Lで症例を分けた場合、胸水アミラーゼ≥75IU/Lの症例の方が全生存期間が長い傾向にありました(log rank test p<0.001, hazard ratio 0.54 [95% confidence interval: 0.41-0.71])。

胸水アミラーゼ≥75IU/L(n=125):生存期間 384日 (95% Cl: 245-523)

胸水アミラーゼ<75IU/L(n=237):生存期間 154日 (95% Cl: 112-205)

以上より胸水アミラーゼ値は癌性胸水のうちEGFR遺伝子変異陽性例で高く、予後を予測する因子になると考えられます。

定例のNTM勉強会でした

Webも合わせて10人程でやっています。NTMに興味をもってくれている4月から来た先生が参加してくれました。

最新論文などの情報共有と各自テーマの進捗報告をしています。

こちらは研究所の先生が発表してしている時の写真です

スタッフのFBから

投票所に歩きながら、私も思わずiPhoneで撮影してましたが、荒井先生流石です。

藤原先生の論文が、米国の雑誌AAC(Antimicrobial Agents and Chemotherapy)にアクセプトされました。

まだin pressですが、論文のタイトルは

In vitro synergistic effects of omadacycline with other antimicrobial agents against Mycobacterium abscessus

藤原先生は最難治性菌であるM. abscessusの研究に取り組んでいます。後日内容について解説してもらいます。

です。最近はJohns Hopkins Universityから「Efficacy of Omadacycline-Containing Regimen in a Mouse Model of Pulmonary Mycobacteroides abscessus Disease. mSphere. 2023 Mar 13;e0066522. doi: 10.1128/msphere.00665-22.」という論文が出ていました(マウスモデルは難しい)

https://www.vinmec.com/en/pharmaceutical-information/use-medicines-safely/omadacycline-uses-indications-and-precautions-when-using/

加湿器肺のケースレポートがpublishされました

過敏性肺炎は日赤医療センター時代から興味を持っており(病理は武村先生、臨床は当時から医科歯科大学のアプローチを倣っていました)、下田(0083)先生とは、加湿器肺について楽しくdiscussionを続けています。

加湿器肺のミストを集めてメタゲノム解析しており、興味深い結果が得られています。

ご一読ください!

セカンドオピニオン(NTM、気管支拡張症)

2020年以降の件数ですが、増えてきているようです。

同分野の専門医師3名で行っています。

2020/4~2021/3 105件
2021/4~2022/3 113件
2022/4~2023/3 137件

線毛機能不全精査を希望される場合は、目的に「線毛不全専門外来」と記載ください(HPには外来枠の記載はありません)。

PFASによる健康被害、多摩地域の広域で発生する恐れ 血液検査で6割が要注意レベル

地域情報を見ていたらこんなものが…注視すべき内容です

https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20230410-00345082

[がんや胎児の発育障害などとの関連が強く疑われ、欧米で全面禁止を含む大幅な規制強化が進む「有機フッ素化合物(PFAS)」。この極めて有害な化学物質が、東京都多摩地域の多くの住民の血液中に高濃度で蓄積されていることが新たな調査でわかった。]

[これだけでも多摩地域のPFAS汚染の深刻さを十分物語るが、住民にとってさらにショックだったのは、米国やドイツの専門機関が「要注意レベル」と設定した血中濃度を上回った住民が全体の約6割と非常に多かったことだ。]

PFAS に関連している病気は何ですか? 

がん(膀胱、腎臓、肝臓、膵臓、前立腺、精巣)
甲状腺疾患
高コレステロール
妊娠高血圧症
肝臓酵素の上昇
免疫系の問題
生殖能力の低下

 投稿者: WATERS

環境汚染物質PFASの危険性(週刊金曜日、1364号)