児玉先生筆頭の論文「Clinical outcomes of linezolid-related adverse events in patients with multidrug-resistant TB」がIJTLDにpublishされました。

【最新論文紹介】多剤耐性結核治療の鍵「リネゾリド」の副作用とどう向き合うか?


多剤耐性結核(MDR-TB)の治療において、リネゾリド(LZD)は非常に効果が高く、欠かせない薬剤の一つです。しかし、その一方で副作用の頻度が高いことも知られており、長期的な使用を制限する要因となっています。
児玉先生は、日本国内の多施設(複十字病院を含む8施設)において、リネゾリドによる副作用が生じた多剤耐性結核患者81名を対象に、その後の経過を調査しました。
1. 主な副作用と回復の状況
調査の結果、特に多く見られた副作用は以下の3つでした。
• 末梢神経障害(足のしびれなど):58%
• 血液毒性(貧血や白血球減少など):53%
• 視神経障害(視力低下など):14%(11名)
ここで重要なのは、発現した副作用が「回復するかどうか」です。血液毒性については、リネゾリドの中止や減量によって、ほとんどの患者で改善が見られました。しかし、神経障害については深刻な結果が明らかになりました。
2. 「しびれ」や「視力低下」は残るリスクがある
研究によれば、LZDを中止してから1年が経過しても、末梢神経障害を訴えた患者45%(20/44名)が改善せず(LZD中止時と自覚症状が変わらない)、視神経障害でも18%(2/11名)が改善しなかったことが報告されています。
3. 副作用を長引かせないためのポイント
この論文では、末梢神経症状が残ってしまうリスク要因として以下の2点を挙げています。
• 神経症状が出現してからLZDを中止するまでの期間が長いこと
• 神経症状が出現してからLZDを中止するまでの総投与量が多いこと
つまり、神経障害の兆候が現れた場合には、「早期に発見し、速やかに投与を中止すること」が、後遺症を長引かせないために重要であると結論付けられています。
4. 再投与の可能性について
副作用で一度LZDを中止した後に、減量再開(600mgから300mgに減量)するケースについても検討しており、血液毒性や肝機能障害の場合は、減量して再開することで治療を完遂できる可能性があります。しかしながら、末梢神経障害の場合は、減量再開しても症状が悪化し中止せざるを得ないケースが多い(60%)ことも示されました。

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多剤耐性結核の治療は長期にわたりますが、児玉先生と吉山センター長らのこの研究は、「LZDの治療効果と、有害事象が患者QOLに及ぼす影響のバランスを考慮した治療方針」を考慮する上で重要な研究と思われます。
当院では、この最新の知見を日々の診療に活かし、結核やNTMに悩む患者さんへより安全で最適な治療を提供できるよう努めてまいります。
論文情報 Title: Clinical outcomes of linezolid-related adverse events in patients with multidrug-resistant TB Authors: T. Kodama, T. Yoshiyama, et al. Journal: International Journal of Tuberculosis and Lung Disease (2025)