

【増加傾向にある肺NTM症:多職種連携と生涯にわたるサポートの重要性】
近年、肺非結核性抗酸菌症(NTM症)の罹患率が日本で急増しています。2007年に人口10万人あたり5.7人だった発症率は、2017年には19.2人へと、わずか10年間で急激に増加しました。この慢性疾患は、診断が遅れるとしばしば肺破壊が進行するため、可能な限り早期の診断および適切なフォローと治療開始が、患者の予後とQOL改善に直結します。
もはや呼吸器専門医のみで対応する疾患ではなくなっており、プライマリケア医と専門医との連携が不可欠です。重症例(空洞を伴う、マクロライド耐性など)は専門施設へ紹介し、安定した軽症例はプライマリケア医が継続フォローを担う循環が推奨されます。
治療期間中の患者の負担は大きく、多職種チーム(MDT)による包括的ケアが極めて有用です。医師のほか、薬剤師、看護師に加え、理学療法士による気道クリアランス指導や、管理栄養士による栄養状態の改善は特に重要です。また、難治例や高齢患者に対しては、積極的治療から症状緩和へと移行する緩和的アプローチも、チーム全体で検討が必要です。肺NTM症は長期にわたり患者を苦しめる可能性が高いため、医療連携の重要性は今後ますます高まると考えられます。




















