Respiratory Investigationに掲載されたQOL関連のレビューの解説です。

筆頭の川原さんがまとめてくれています。

今回の総説論文は、肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)患者の健康関連生活の質(HRQoL)に焦点を当てた包括的なレビュー報告です。近年、肺NTM症の疾患管理としては菌の陰性化を目標とするだけでなく、HRQoLを含む患者報告式アウトカム(PROs)への注目が高まっています。

このテーマに関する最新の総説は存在しなかったため、今回、この重要なテーマについてまとめました。2011年から2023年の間に、横断的研究19件、縦断的研究9件が報告され、肺NTM症におけるHRQoLに関する研究は増加傾向にあります。

肺NTM症の主な治療は薬物療法で、菌の陰性化を目指しますが、その治療効果は必ずしも十分ではなく、治療後の再発も珍しくありません。今回の総説では、多くの要因がHRQoLに影響を及ぼし、特に予後に関連する因子はHRQoLを著しく低下させることをまとめています(下表)。

予後に関連する因子を有する症例では、菌の陰性化が困難な場合が多く、また、薬物療法だけでは病気の管理が不十分な場合は慢性的に身体面や精神面において悪化することがあります。このような難治性の疾患を抱える患者にとって、治療目標を菌の陰性化だけではなく、患者本人の現状についてPROsを用いて評価し、HRQoLの改善や維持を目指すことが重要です。

臨床医やケアチームが患者一人一人の状態をできる限り正確に把握し、寄り添う共感的なケア(薬物療法に加えて疾患の教育・栄養指導・呼吸リハビリテーションなど)を提供することで、より質の高い生活を送ることが可能になると考えます。

今回このような機会を頂けたこと、この論文作成にご協力いただきました方々に、この場をお借りして感謝申し上げます。

NTM症患者における健康関連QOL評価についてのレビュー論文がRespiratory InvestigationにPublishされました。

リハビリ科の川原さんが筆頭で、共同で作成しています。

レビューのお話を頂いてから大変時間がかかってしまいましたが、形になってホッとしています。

これまでに報告された論文をほぼ網羅していると思いますので、PRO研究の現状を把握するのに役立つと思います。

後日、論文内容の解説がありますのでお待ちください。

0083の論文がRespiratory InvestigationにPublishされたってよ -Validation of a Diagnostic Flowchart for Tuberculous Pleurisy in Pleural Fluid with High Levels of Adenosine Deaminase-

こんにちわ、0083です。久しぶりに今年5本目となる論文が掲載されましたので紹介します。

今回の論文は、以前に報告しました「胸水ADA高値例に対する結核診断のフローチャート」のバリデーション研究です。(以前の報告はこちら:0083の論文がBMC pulmonary medicineにpublishされたってよ -Characteristics of Pleural Effusion with a High Adenosine Deaminase Level: A Case–Control Study-)

一般的に胸水ADA値は結核性胸膜炎の診断に有用ですが、近年の研究でその特異度が低く、ガイドラインでも日本のような結核低蔓延国では除外に使用し、それだけでルールインしないように記載されています。そこで胸水ADA≧40 U/Lの症例に対する結核の診断フローチャートを作りました(下図)。この研究では結核の有病率が高かったこともあって、今回結核有病率の異なる集団でバリデーション研究を行いました。

全国8施設にご協力いただき、胸水ADA≧40U/Lを示した458例のデータを収集しました。(ご協力いただいた施設の先生方、本当にありがとうございました!)

458例中、結核性胸膜炎は87例(19.0%)であり、診断フローチャート診断精度は77.7%、感度86.2%、特異度75.7%でした。

なお元研究は456例中203例(44.5%)が結核であり、フローチャートの診断精度は80.9%、感度80.9%、特異度78.8%であり、その精度は概ね同様と言えました。

ただしフローチャート内のGroupBについてはバリデーションスタディで結核は23.3%しか含まれていなかったためIndeterminateとしました(下図)。

以上より結核の有病率が異なる集団にもフローチャートは有用であり、特に有病率が低い集団に対しては感度が高く、ルールアウトに有用です。

上記のフローチャート内の結核が含まれる割合も参考にし、ぜひ臨床で使ってみてください。

   

また今回、全国のたくさんのご施設にご協力いただきました。この場をお借りして深く御礼申し上げます。

木村先生の論文がPulmonary Circulationに掲載されました。

以下は木村先生による解説になります。

非侵襲的検査で、呼吸器疾患併存の肺高血圧症における重症度評価が可能になる論文がPulmonary Circulationに掲載されました。要旨は以下の通りです。お時間があればご一読ください。

Novel evaluation of pulmonary hypertension associated with chronic lung disease using perfusion SPECT/CT: A pilot study.
Atsumi K, Fukushima Y, Tanaka Y, Nishima S, Tanaka T, Seike M, Kubota Y, Kimura H.
Pulm Circ. 2024 Aug 21;14(3):e12423. doi: 10.1002/pul2.12423. eCollection 2024 Jul.
PMID: 39170759

要旨;

慢性呼吸器疾患(CLD)に伴う肺高血圧症(PH)では、PHの存在は予後に大きな影響を及ぼすため、肺血管拡張薬の恩恵を受ける患者を特定することは重大な臨床課題となっている。本研究では、SPECT/CTを用いてCLD-PH 患者(COPD7例, ILD7例, CPFE8例、右心カテーテル検査で平均肺動脈圧(PAP)≧25 mmHg)の肺循環障害の重症度を評価し、臨床応用の可能性を追求した。さまざまな交絡因子を考慮したうえで、灌流SPECT画像からの灌流欠陥容積を肺容積で割ることによって得られる肺灌流欠陥割合(%PPD)は、肺小動脈血管床における障害の程度を反映しており、CLD-PH 患者の肺循環障害の重症度を評価する貴重な非侵襲的手段となる可能性が示唆された。本論文はあくまでpilot studyであるが、本領域の臨床現場からのニーズは高く、臨床研究のさらなる進展が望まれる。

肺NTM症診療で把握、確認すべき項目(チェックリスト)

昨日、WEB講演をさせていただきましたが、こちらはその際に使用したスライドの一部です。

以前このブログでも紹介した内容の一部を改訂しています。

患者さんの状態はさまざまですので、チェックすべきポイントは個々に異なりますが、長期フォローの過程でマネジメントを見直す際に役立つのではないかと考えています。

ご参考になれば幸いです。

第8回抗酸菌研究会開催のお知らせ

結核、非結核性抗酸菌の基礎研究では、国内で一番重要な会に発展してきました。

かなりコアなので多くの方は目にすることがないチラシなのですが。。

抗酸菌研究をしている方はご参加をご検討ください。

NTM-irへのリンク

7月1日は世界気管支拡張症デー

8月4日は世界NTMデー

です。

12:43 PM | 2024年6月9日  のブログで紹介しましたが世界NTMデーはNTMirが主導して活動しており

日本結核・非結核性抗酸菌症学会とJ-BREATHも支援しています。

https://world-ntm-shop.myspreadshop.com/

紹介できなかったスライド

直近の講演でトラブルがあって、紹介できなかったスライドの1枚

このスライドは私がはじめてNTM関連の講演を行った時のものです(医師8年目)

内容としては内科医からみた外科治療の位置づけですが、内科治療の発展についても紹介しました。

ここでアップした理由の1つは、ご本人の前でGriffith先生の若い時の写真を紹介したかったからです(笑)2つ目の理由は、ようやく一般化してきたTIWですが、Griffith先生が最初にTIWを報告したのは1998年ということです。EBの副作用頻度を低下させるためにはTIWが最も重要です。

Griffith先生若い!

伺ったところ、2000年に髭をそったらしく2002年ごろの写真だそうです。

日経メディカルに「日本結核・非結核性抗酸菌症学会など3団体による情報提供(前編)世界NTMデー:急増する肺NTM症のギモンに答えます」が掲載されました。

私も少し協力しています。

皆さま ポスターは掲示して頂けましたでしょうか。

お知らせ

日本結核・非結核性抗酸菌症学会では、2024年に入ってSNSによる情報発信に力を入れています(図2)。抗酸菌症の最新の知見だけでなく、文献検索、人工知能(AI)、学会発表テクニックなど広く発信していますので、フォローよろしくお願いします。

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