陰性化の得られない症例のマネージメントについては問題が山積しています。
大変なプロジェクトでしたが、1stのDiana Moreira-Sousa先生やLastのRaquel Duarte先生らはよくここまでまとめたと思います。
こちらのステートメントが今後の議論の土台となり、より良いNTMマネージメントに繋がればと期待します。


陰性化の得られない症例のマネージメントについては問題が山積しています。
大変なプロジェクトでしたが、1stのDiana Moreira-Sousa先生やLastのRaquel Duarte先生らはよくここまでまとめたと思います。
こちらのステートメントが今後の議論の土台となり、より良いNTMマネージメントに繋がればと期待します。


ずっと慌ただしく過ごしているうちに、気がつけばかなりの日が経ってしまいました。
今さらではありますが、先日の地方会について、写真とともに記録しておきたいと思います。
今回の学会では、座長の先生方を次のような基準でお願いしました。
まず、2演題以上の発表を出してくださった施設の先生方。
そして、「教育的で熱心な先生」と評判のあった方(私の独自調査です)。
さらに、活躍が目覚ましい若手の先生方です。
中には面識のなかった先生もいらっしゃいましたが、お願いしたすべての先生から快くお引き受けいただき、本当にうれしく、感謝の気持ちでいっぱいでした。

研修にきていた竹内先生の発表(とても優秀な若手)

みんな知っている下田先生(日本で2番目に有名な呼吸器内科医笑)

尾形先生の座長(演者は東京病院の鈴木先生です)

慶應の八木先生の講演(大変勉強になりました)

風格がある、と言われていた藤原先生の座長

閉会の挨拶では、地方会昔話で、かつての会場だったエーザイホールの壇上の掲げられていた書「天助自助者(記憶では逆側から書かれていた)」のことを紹介しました。調べてみると、これは日本で初めてビタミンE製剤を開発し、エーザイを興された内藤豊次氏の座右の銘であり、イノベーションを重んじ、自ら独自の薬を開発していくという社風に繋がっていたことを知りました。それが近年のアルツハイマー病新薬の開発にも結実していると伺い、深い感銘を受けたこと。我々呼吸器分野においても、AIを含め大きな変化の時代にあって、学会として培ってきた文化と独自性を大切にしていく必要があると感じている、、というような話をさせて頂きました。
研究所の宮林研究員が筆頭です。PCD外来の立ち上げからずっと一緒に取り組んでいます。
EMの評価などはとても大変ですが、診断には遺伝子と並んで不可欠とされています。
DRC1が約半数を占める日本においては、その有用性に限界があることも明らかにしました。
標準化された判定法と遺伝学的解析の併用が不可欠です。


この研究は、ベトナム北部で慢性副鼻腔炎と痰を伴う慢性咳を訴える200名の患者を対象に、臨床像と遺伝的背景を解析したものです。
目的は、遺伝的に原因が特定できる疾患(CF, PCD, DPBなど)が、非特異的な上気道・下気道症状の背後にどの程度存在するかを明らかにすることでした。
遺伝学的解析
▪ Cystic Fibrosis (CF)
1例で CFTR遺伝子の病的変異を2つ(p.Trp401Ter と p.Asp979Ala)発見。
長鎖リードシーケンスで両者が異なるアレル上に存在することを確認(複合ヘテロ接合)。
→ ベトナムにおけるまれなCFの確定例。
▪ Primary Ciliary Dyskinesia (PCD)
3例で病的変異を同定:
DNAAF11 (LRRC6): c.1A>G (p.Met1?)
RSPH1: c.365+1G>A, c.407_410del (p.Lys136MetfsTer6)
いずれも稀な型のPCD遺伝子変異であり、欧米で一般的なDNAH5やDNAI1変異は検出されなかった。
▪ WFDC2
新興の気道防御関連遺伝子だが、異常は検出されず。
▪ Diffuse Panbronchiolitis (DPB) 関連
MUC22 遺伝子(intron 2)のSNVが、広範BL/BE群で有意に多い。
これは日本のDPB患者でも報告されている多型で、アジア共通の遺伝的素因の可能性が示唆された。
HLA-DRB1*04:05 も対照群より高頻度
欧米で主流の変異(CFTR p.Phe508delなど)は検出されず、東南アジア特有の遺伝的背景が存在する。
DNAAF11やRSPH1など、アジア地域に特有なPCD原因遺伝子の関与が明らかとなった。
非特異的な慢性副鼻腔炎+咳嗽症状の背景に、遺伝性疾患が潜む可能性がある。
今後はベトナム国内での遺伝子診断体制の整備が必要とされる。
今回の論文はクランプテストについての研究です。
論文リンクはこちら
皆さん、気胸の胸腔ドレーンを抜くとき、どうしてますか?ドレーンを鉗子で閉塞して気胸が再燃しないかチェックする、いわゆるクランプテストは行っていますか?実はこのクランプテスト、エビデンスが乏しく、どんな症例に行うべきか分かっていません。そこで今回、440例を対象にクランプテストの有用性を後ろ向きに検討しました。
355例がクランプテストを受けており、そのうち41例(11.5%)でクランプ中の再発を認めました。これらの症例はクランプせずに抜去した場合のドレーン再挿入のリスクを回避できたと考えられます。
クランプ中の再発リスクとして、クランプ前の肺拡張不十分(61.0% vs. 29.9%, p<0.001)、フルクテーション残存(82.9% vs. 43.0%, p<0.001)、喫煙歴(85.4% vs. 65.1%, p=0.008)ありが挙げられました。
これら3つのリスク因子の合致数とクランプ中の再発率は以下の通りでした。
3つ合致:クランプ中の再発率=45.2%
2つ合致:クランプ中の再発率=12.7%
1つ合致:クランプ中の再発率=3.5%
合致なし:クランプ中の再発率=2.6%
上記、リスク因子が2つ以上ある場合はクランプテストを実施すべきと考えます。1つ以下の場合は臨床状況を加味して判断する必要があると考えます。
さらにクランプテストを実施せず、ドレーンを抜去し、その後7日以内の再発を認めなかった85例を合わせて検討しても、同様の結果でした。
リスク3つ合致:クランプ中の再発率=38.0%、2つ合致:クランプ中の再発率=10.9%、1つ合致:クランプ中の再発率=2.6%、合致なし:クランプ中の再発率=2.1%

当時当院で研修していた東邦大学の時田望先生が筆頭で、東邦大学との共同研究です。
東邦大学では卜部先生が専門外来を開設されており、NTM診療で重要な役割を担っています。
下記は時田先生からの論文紹介です。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0954611125004718

複十字病院と東邦大学医療センター大森病院にて、2021年8月から2023年9月の間にアミカシンリポソーム懸濁液(ALIS)を開始した難治性肺MAC症患者87例を対象として、ALISの有効性と有害事象を検討しています。
喀痰培養陰性化率は28.6%で、培養持続陽性を予測する因子はBMI<18.5 kg/m² (aOR 0.07, CI 0.02–0.35)、空洞の存在(aOR 0.02, 95% CI 0.002–0.18)であり、有意差はないものの培養陰性化群は治療開始からALIS導入時までの期間が短い傾向がありました(p=0.080)。空洞を有する患者の喀痰培養陰性化率が9.4%に対して、空洞を有さない患者は64.7%であり、難治性肺MAC症が進行する前の早期段階にALISを導入する必要があります。
一方、有害事象は嗄声が最も多く53.9%に出現していました。しかし嗄声が原因でALISが永続的に中止となった症例はなく、うがいや食前吸入、隔日吸入など適切に対処を行うことが重要です。
またALIS投与中に肺MAC症とは異なる新規陰影が出現することが多く、この新規陰影をALIS-related lung abnormalities (ALIS-RLA)と命名し検討しています。ALIS-RLAは82.1%に出現し、そのうち92.7%は無症状でした。呼吸困難などの症状がある場合はALISを中止する必要がありますが、無症状の場合はALISを継続しつつ症状が出現しないか注意深く観察する必要があります。
難治性肺MAC症の治療選択肢が限られている中、有害事象に対して適切に対処しALISを継続することが重要です。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41062319/ 伊藤先生が筆頭です。
当院からは、貴重なPCD症例の報告を継続しています。

Intern Med 2025 Oct 9. doi: 10.2169/internalmedicine.6081-25
We present a 46-year-old patient with primary ciliary dyskinesia (PCD) caused by a large deletion spanning exons 5–11 of DNAAF11, accompanied by a hemizygous nonsense variant. The PICADAR score of the patient was 14, which was based
on the presence of heterotaxy, congenital heart disease, a history of neonatal respiratory distress, a history of neonatal intensive care unit admission, chronic sinusitis, and otitis media. Additionally, the nasal nitric oxide level of the patient was markedly low at 30.7 nL/min. These findings suggested that the clinical features of DNAAF11-related PCD are typical of PCD.

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皿谷先生、本当にありがとうございました!
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プログラムアドバイザーとして参加させていただきましたが、9名の演者の先生方によるご講演はいずれも素晴らしく、7時間があっという間に感じられました。予想外のハプニングもありましたが、研究に関する本音が多く飛び出し、さらに盛会となりました。

