0083の論文がRespiratory InvestigationにPublishされたってよ -Relationship between the Thickness of Erector Spinae Muscles and Mortality in Patients with Pulmonary Tuberculosis-

こんにちわ、0083です。

今回アクセプトされたのは結核の予後と筋肉の厚さの関係を解析した論文です。

https://doi.org/10.1016/j.resinv.2023.04.011

以前、Th12レベルの脊柱起立筋の厚さ(ESMT)が面積(ESMCSA)と相関し、ADLの評価として簡便な方法であることを報告しました。

今回の論文は筋肉の厚み(ESMT)と肺結核の予後との相関を検討しました。

267例の結核の症例を収集し、そのうち40名が60日以内死亡していました。

結核症例においてもESMTとESMCSAは強く相関し(r=0.991, p<0.001)、多変量解析を行ったところ、ESMTの低下は有意に60日死亡率の上昇を認めました(HR 0.870 [95%Cl 0.795-0.952], p=0.003)。

さらにROC曲線を用いて決定したESMTのカットオフ値(19.1mm)でカプランマイヤー曲線を作成しました。

御覧の通り、ESMT≤19.1mmの群で有意に予後が悪い結果でした(log-rank test p<0.001, HR 6.48 [95%Cl 2.98-14.05])。

筋肉の厚みの測定は筋肉量の評価として簡便な方法であり非常に有用であることに加え、その予後にも関係している事が示されました。

定例の勉強会が開催されました

Web含めて13人ほどの参加です。基礎、臨床6名が発表しましたが、新しいプロジェクトも良い感じで進んでいるようです。あっという間の3時間でした。

今月号の表紙です!

”キタコレ”って思わず書いてしまった。

いいですねー。この写真!

もしかして0083が絡んでいるのか、と思いましたが違いました。

撮影:関健太郎氏

「夕やけお空の外に出たい

などから差し込む夕日が眩しくなったころ、シールぼうややが言いました。

外には、オレンジ色の空が静かに広がっていました。

「この空を見せたい。今は働いている、おねえさんたちに見せたい。

だから写真を撮って、」とシールぼうやが言いました。

結核のない明日を見据え、その日がくるのを決してあきらめない。

固い決意がシールぼうやには見えました。

米国患者団体会長のAmyさんに、市民公開講座での講演のお礼を伝えました。

ワシントンで開催されたATSでは、久しぶりにAmyさんに直接お会いすることができました。

市民公開講座での講演の反響は大きく、多くの患者さんに観て頂いております。今回は、そのお礼を伝えることができました。

その向かいには、PCD(線毛機能不全症候群)の患者団体がブースを開いていました。ぜひ活動を日本でも伝えてくださいと話されていました。

0083の論文がScientific ReportsにPublishされたってよ -Usefulness of gastric aspirates for diagnosing nontuberculous mycobacteriosis-

こんにちわ、0083です。

論文がpublishされましたので紹介させていただきます。

doi: 10.1038/s41598-023-34948-5.

今回の論文は非結核性抗酸菌症(NTM)に対する胃液検査の有用性についてです。

以前、肺結核に対する胃液検査の有用性の論文を書きました。

その論文は超有名ブログの「呼吸器内科医」に取り上げていただいて大きな反響をいただき歓喜に包まれましたね。

肺結核の診断は「3連痰」を検査するより、どこかに胃液検査を入れよう

   

そして今回、満を持してNTMに対しても胃液検査の有用性を検討しました。

初回の喀痰塗抹陰性または喀痰が得られず胃液検査を行った症例を収集し、以下の比較を行いました。

①31例の診断基準を満たす肺NTM症例とその他の疾患421例(肺結核203例含む)と比較

塗抹:感度38.7%、特異度88.8%

培養:感度74.2%、特異度99%

→痰が出ない症例でも胃液検査でNTM陽性になる。(診断基準には含まれないので注意が必要)

   

②肺NTM症例のうちcavity lesionの有無で比較するも塗抹、培養に差は見られず。

→病初期である結節・気管支拡張型(NBtype)にも有用

   

③81例の肺NTM疑い例(1度でもNTMが培養された例)と410例のその他の疾患(肺結核203例含む)と比較

塗抹:感度32.1%、特異度88.5%

培養:感度64.2%、特異度99.8%

胃液でNTMが陽性になった例のうち、肺結核であったのは1例のみであった。

→抗酸菌感染症を疑った症例で胃液検査によりNTMが検出された場合、高い確率で肺結核を除外できる(当研究では98.1%の精度)。

   

肺結核に対する胃液検査の報告と併せて、抗酸菌感染の精査に対して胃液検査は有用であり、肺結核の診断だけでなく、NTMの精査と肺結核の除外にも有用と分かりました。

論文紹介(藤原先生)

先日フライングしましたが、無事publishされたため、藤原先生に解説してもらいました。

Mycobacterium abscessus感染症の臨床的重要性はますます高まっています.しかし,現在のガイドラインで推奨されている標準的な治療レジメンは,しばしば好ましくない治療結果をもたらします.そこで我々は,新規テトラサイクリンであるオマダサイクリン(OMC)のMycobacterium abscessusに対するin vitro活性を調べ,新規治療オプションとしての可能性を検討しました.2005年1月から2014年5月までに40名の患者さんの喀痰から得られたMycobacterium abscessus subsp. abscessus(Mab)臨床株40株の薬剤感受性を調べました.OMC,アミカシン(AMK),クラリスロマイシン(CLR),クロファジミン(CLO),イミペネム(IPM),リファブチン(RFB),テジゾリド(TZD)単剤のMIC値およびOMCとの併用効果について,チェッカーボード法を用いて検討しました.さらに,Mabのコロニーモルフォタイプによる効果の違いについても検討しました.OMC単剤のMIC50 2μg/mL,MIC90 4μg/mLでした.OMCとAMK,CLR,CLO,IPM,RFB,TZDの組み合わせは,それぞれ17.5%,75.8%,25.0%,21.1%,76.9%,34.4%の菌株に対して相乗効果を示しました.また,OMCとCLO(47.1% vs 9.5%,P = 0.023)またはTZD(60.0% vs 12.5%,P = 0.009)との併用は,スムースモルフォタイプの菌株よりもラフモルフォタイプの菌株に対して有意に高い相乗効果を示しました.以上より,OMCとの相乗効果はRFBとで最も多く観察され,次いでCLR,TZD,CLO,IPM,AMKの順であることがわかりました.さらに,OMCはラフモルフォタイプのMab株に対してより効果的である傾向が見られました.

OMCとの相乗効果はもちろん重要かと思いますが,OMCと今回調査した6種類の抗菌薬との間に拮抗作用がなかったこともまた重要だと考えています.あくまでin vitroの結果にしか過ぎませんが,OMCがMycobacterium abscessus感染症治療に一般的に使用されている薬剤が使用できない場合の代替薬となり得るかもしれません.

また,ラフモルフォタイプの菌株に対して相乗効果をより示す傾向であったことは面白い点でした.議論の残るところではありますが,ラフモルフォタイプは肺Mycobacterium abscessus症の治療難治性に関連するとの報告があります.本研究により,OMCがラフモルフォタイプ株による難治性Mycobacterium abscessus感染症の治療成績を向上させる可能性が考えられました.

現在海外では肺アブセッサス症に対するオマダサイクリンの第2相試験が行われているようです(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04922554).どのような結果になるか待ち遠しいですね.