気管支拡張症の再興と再考

erarly viewで恐縮ですが紹介します。

世界的に2015年ごろから欧州で気管支拡張症に関する研究に盛り上がりがあることは認識していましたが、NTMの割合が少なく、FC型メインであり、田中先生や倉島先生が示す粒状陰影から気管支拡張症まで進展する病態についての認識がない等、決して小さくないギャップを感じていました。一方で、日本では、おそらく1990年から2000年すぎごろまでに、結核を主とする感染後やDPBなどの減少があり(おそらく原因不明のSBS自体も減っていた?)、中葉舌区症候群*とされていた症例の多くがNTMではないか、そして、さらに中葉舌区症候群という用語自体が使われなくなっていき、現在では中下葉の気管支拡張症所見の多くを”NTM疑い”として見るように変化してきたのではないかと思います。

NTM症を気管支拡張症の一部と理解する欧州とのギャップを埋めていくことは大きな課題です。まずは、日常臨床で我々が何をみているのか、整理しなおすことが重要だと考えます。そのためにもまずは正確な診断です。

先日「NTM(矛盾しない)画像の症例に、気管支鏡までやっても出てこない症例があるのですよね」とコメントしている先生がいらっしゃいました。

それを気管支鏡検査の限界と考えるのか、本当にいない(気管支拡張症)と判断するのか。

個人的には、先ずは気管支拡張症としてのスタンスをもつことが必要と思っています。

*の定義も変化があります(雑誌呼吸器科31(1)=181:2017.1 p.7-11にまとめています)。

このデータをどのように理解するか、、後日記載したいと思います。

胸水アミラーゼ値のびぼろ

過去に黒色胸水についての備忘録を書かせていただきましたが、その中でフローチャート(私見)を作りました。

胸水の色には理由がある!

今回は↓の部分につっこんでさらに調査しました。

胸水中のアミラーゼ(AMY)は膵疾患、食道破裂で著明に上昇すると言われていますがこれらの疾患は稀であり、胸水AMYが高値する場合、癌性胸水である事が一般的と言われています。

その特徴は、

1:胸水AMY>200U/Lをカットオフ値にすると、癌性胸水のうち15%が>200U/Lで、>200U/Lの症例のうち60.6%が癌性胸水でした(Chest . 2002 Feb;121(2):470-4. doi: 10.1378/chest.121.2.470.

2:胸水AMY>200U/Lの癌性胸水は肺癌や腺癌が多い報告されています(Chest . 2002 Feb;121(2):470-4. doi: 10.1378/chest.121.2.470.

3:胸水AMY>67U/Lで良性疾患との鑑別に対し感度83%、特異度43%(Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2011 Mar;12(3):420-4. doi: 10.1510/icvts.2010.250357.

4:胸水/血清AMY比が膵疾患とその他の高AMY胸水の鑑別に有用(膵疾患 18±6.3 U/L vs. その他の胸水4.7±1.3 U/L, p=0.003)(Chest. 1992 Nov;102(5):1455-9. doi: 10.1378/chest.102.5.1455.

   

我々の報告でもADA≥40IU/Lの症例ではAMY≥75U/Lが悪性胸水の診断に対し、感度49.0%、特異度92.2%、オッズ比 13.3でした。(BMC Pulm Med . 2022 Sep 21;22(1):359. doi: 10.1186/s12890-022-02150-4.

   

一方で胸水AMY値の上昇は非特異的であり、胸水貯留の原因の特定には寄与しないため膵疾患や食道破裂を疑わなければルーチンでの検査は推奨されていません。(R.W.light, 胸膜疾患のすべて; Arch Intern Med . 2001 Jan 22;161(2):228-32. doi: 10.1001/archinte.161.2.228.

   

胸水AMYの論文は古いものが多いし、議論の余地がありそう!

肺NTM症の認知度はとても低いです!。

家族に病気のことを理解してもらえない、と話される患者さんを経験します。

バイアスの影響、また追加解析は必要だとは思いますが、とても重要な問題を指摘しています。

COPDは大規模なキャンペーンを継続して50%となっていますので、今後しっかりと認知度向上に向けて取り組んでいかないといけませんね!。

こちらは昨日紹介した座談会で髻谷先生が示したスライドの1枚になります。

NPO法人日本呼吸器障害者情報センター(J-BREATH)が企画された座談会に参加しました。

「肺NTM症を理解しよう~長いフォローアップ期間に寄り添うリハビリテーション~

というテーマでした。来年の会報誌J-BREATHをご期待くださいhttps://j-breath.jp/field/newspaper.html。

J-BREATHのことを広く呼吸器科医師に知ってほしいと思いましたhttps://j-breath.jp/about/greeting.html

手前左から吉田さん、遠山理事長、飯田さん

髻谷満(複十字病院)後列右

南宮湖(慶應義塾)右から2番目

中島活弥(ケアフォレスト)後列左

貴重な機会を頂き、私自身が大変勉強になりました。

日本薬理学会・日本臨床薬理学会学術集会が開催されました。

初めて参加させて頂きましたが、治験やビックデータなど臨床に繋がる研究から、薬理学の基礎まで幅広く発表されていて刺激を受けました。

合同学会ですが、他の学会も合流していくのが時代の流れになるのでしょうか。分かりませぬが。

清瀬からパシフィコ横浜まで乗り換えなしで付くのです。便利!

ポスター会場

薬学半分、企業半分といった構成のようです。かなり活発に議論されていました。

私は、浜松医科大学の乾教授に声をかけて頂き発表致しました。

田澤先生は肺胞蛋白症のGM-CSF吸入療法

石黒先生は嚢胞性線維症の吸入療法(TOBIなど)

について講演され、基礎、疾患背景からQOLまで意識して講演されており、大変勉強になりました。

日程調整できず、前後のセッションもわずかしか聴講できず、、

伊藤先生が抗治研で発表しました。

15年以上前に「抗治研?何ですかそれ?」、と隣の先生に聞いたときに、「セミクローズドのヲタクの会」と教えてもらいました。今も「非定型」という用語を敢えて残しています。臨床寄りが抗治研、基礎が抗酸菌研究会です。

伊藤先生、がんばってますー(一般演題の内容としては貴重でしたー身内のこと言うのもなんですが)

島尾先生(故結核研究所所長)が第一代目の会長。

今回、斎藤先生が会長としての最後の会を開催されました

米国からキャピリアMAC®のデータがpublishされました。

Oregon大学との共同研究で、感染研の阿戸先生と共著者に入っています。

特異度はやはり高いですね。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36349274/

Background. There is an unmet need for rapid, accurate, and noninvasive assays for diagnosis and monitoring of Mycobacterium avium complex pulmonary disease (MAC-PD). We evaluated the diagnostic accuracy of an antiglycopeptidolipid (GPL)-core immunoglobulin A (IgA) antibody test in a US cohort of MAC patients, and we described serial serology changes during antimicrobial therapy.
Methods. We identified serum samples from MAC patients starting treatment at enrollment and control subjects with or without bronchiectasis within OHSU’s NTM Biobank. We conducted diagnostic test accuracy. Changes in mean levels of antiGPL-core IgA antibodies between 0 and 3, 6, or 12 months after treatment start were assessed using the Student’s paired t test. Pearson’s correlation coefficient was calculated for IgA antibody levels and Student paired t test measures.
Results. We included 25 MAC patients and 18 controls. At baseline, IgA antibody concentrations in MAC patients (3.40±6.77 U/mL) were significantly higher than in controls without bronchiectasis (0.14±0.03 U/mL, P=.02). Sensitivity and specificity for MAC-PD in this population was 48% and 89% (cutoff point 0.7 U/mL), respectively. Among MAC patients starting antimicrobial therapy, mean IgA levels decreased 0.3202 U/mL (P=.86) at month 3, 0.8678 U/mL (P=.47) at month 6, and 1.9816 U/mL (P=.41) at 1 year. Quality of Life-Bronchiectasis Respiratory Symptom Scale improvement correlated with decreasing IgA titers after 12 months of treatment in MAC patients (r= −0.50, P=.06).
Conclusions. Anti-GPL-core IgA antibody levels are relatively specific for MAC-PD and decrease with treatment. Larger studies are warranted to evaluate the role of IgA serology in monitoring treatment response or for disease relapse/reinfection.

Yahooニュースで、下田先生(0083)のコメントが紹介されました!

加湿器肺の世界的権威 0083がコメントしています。

倉原先生の発信力に乗っています!有難うございます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20221201-00326374?fbclid=IwAR1DK7k2sxmlWyyzDEs986wuTpdOOgy8jenSSN81xnKfZN5sdS_NfB9bKzw

「先ほどのデータをふまえ、加湿器肺の研究成果を多数発表している複十字病院呼吸器センターの下田真史医師にうかがったところ、「少なくとも4日に1回は加湿器の水を入れ替えるのが良いです。個人的には毎日の水洗いと水の交換、加えて週に1回の洗剤による洗浄がおすすめです」とのことでした。」

ATSからのletterで知りました。

2015年のTrudeau medal授与式では、スタンディングオベーションで祝福されていました。その授与式ではそのような光景は見たことがなく、米国でどれだけ尊敬されているのか実感しました。彼の名著「A clinicia‘s guide to Tuberculosis]で勉強した人は多いでしょう。次の改訂版を楽しみにしています、とお伝えしていましたが。彼の引退のお祝いをする会に世界のTB/NTM研究者と一緒に招待頂いたのは大切な思い出になっています。