伊藤先生による解説です。
今回は、日本初のDNAAF1遺伝子変異によるPCDを報告しました。
DOI: 10.2169/internalmedicine.3263-23
DNAAF1はダイニン腕のAssembly(組み立て)に関与する遺伝子ですので、電子顕微鏡所見ではダイニン腕の欠損を認めますし、内臓逆位も引き起こす可能性があります。
しかし、本邦ではこれまで1例も報告がありませんでした。
世界的にはPCDの2-5%を占めるDNAAF1遺伝子変異ですが、本邦ではかなり稀なのかもしれません。
本症例の場合は、問診で近親婚があることが明らかになりました。
近年は減少傾向ですが、1983年の本邦の近親婚率は3.9%と報告されています。
PCDを疑う一助にもなると思いますので、気管支拡張症の患者さんには近親婚の有無を聞くことも大切です。