ドクターサロンで肺MAC症について解説しました。

正確には、ラジオでお話したものが書き起こされています。

2度目だったのですが、司会の先生方が本当にすごいです。少しだけリハーサルを雑談的に幾つかの質問を交えて話をして、直ぐに本番となるのですが、キーとなる質問をタイミングよく、幾つかは流れの中で事前のものから変えつつ質問されます。一発ではい終わりね、お疲れさま、みたいな。

どの分野についても直ぐにポイントを掴んで理解されているのだと思います。プロだ。

因みに、前回は虎ノ門のスタジオでしたが、コロナ禍でPCからのオンラインに変更になっていました。音声は影響なく綺麗に録れているそうです(自分では聞いてない、多分編集のひとが、私が噛んだところも含めて上手くやってくれているのでしょう)。

伊藤先生が筆頭のケースレポート(DNAAF1変異による原発性線毛機能不全症候群)がInternal medicineにpublishされました。

伊藤先生による解説です。

今回は、日本初のDNAAF1遺伝子変異によるPCDを報告しました。

 DOI: 10.2169/internalmedicine.3263-23

DNAAF1はダイニン腕のAssembly(組み立て)に関与する遺伝子ですので、電子顕微鏡所見ではダイニン腕の欠損を認めますし、内臓逆位も引き起こす可能性があります。

しかし、本邦ではこれまで1例も報告がありませんでした。

世界的にはPCDの2-5%を占めるDNAAF1遺伝子変異ですが、本邦ではかなり稀なのかもしれません。

本症例の場合は、問診で近親婚があることが明らかになりました。

近年は減少傾向ですが、1983年の本邦の近親婚率は3.9%と報告されています。

PCDを疑う一助にもなると思いますので、気管支拡張症の患者さんには近親婚の有無を聞くことも大切です。

COPDにおけるNTM症合併の影響を検討した論文がERJ open research にpublishされました。

症例数は多くなく、単施設での研究は簡単ではありませんが、このような研究を積み上げることで全体像をより正確に把握することができてくると思います。

理学療法が特に活かされるべき患者像だと思います。

日本ではレセプト登録時に気管支拡張症は過小評価されることは常に意識します。簡単ではありません。

馬上先生の論文がCureusにPublishされたってよ -Community-Acquired Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Strain Positive for the Panton-Valentine Leucocidin Gene in a Middle-Aged Patient With Multiple Septic Pulmonary Emboli-

今回は杏林大学呼吸器内科より出向している馬上先生の論文がpublishされましたので紹介します。

近年、市中感染型MRSAによる感染症が増加しており、海外ではUSA300株が多いのですが日本ではまだマイナーです。USA300株はPVLという白血球破壊毒素を産生し、時に壊死性肺炎や敗血症が急激に進行し重症化してしまうことがあります。しかしこのUSA300株は日本では稀であり、特に若年者以外の敗血症性膿瘍の症例報告はありません。

今回、PVL産生市中感染型MRSA(USA300株)による敗血症性膿瘍の1例を経験しました。

症例は59歳男性で、唇の口内炎を噛んでしまった後から発熱しました。唇の蜂窩織炎に加え、両肺に多発空洞結節影を認め、敗血症性膿瘍と診断しました。

第2病日に入院時の血培からMRCNSが検出されVCMに変更しました。しかし翌第3病日に両側肺にびまん性すりガラス影が出現しショック状態となり、人工呼吸器管理とノルアドレナリンの投与を行いました。繰り返しの血培と喀痰、尿からそれぞれMRSAを検出し、抗菌薬をGM追加、VCMをLZDに変更しましたが、破壊された肺が進行して穿破したことによる両側気胸を発症し呼吸状態のコントロールが困難となりました。入院14日目に血培が陰性化しましたが入院15日目に永眠されました。

培養されたMRSAを用いて杏林大学病院の花輪智子先生に遺伝子検査をお願いしたところ、PVL産生USA300株であったことが分かりました。

近年の報告ではPVL産生MRSAとPVL非産生MRSAとの間に予後の差はないという報告もありますが、症例報告ベースでは当症例のように急激に進行して肺が破壊性に進行する例が散見されます。本邦での報告は少ないですが、USA300株は増加傾向にあり、今後は市中感染MRSAの症例はUSA300株を含むPVL産生菌を想定する必要があります。特に急激に進行してしまう症例では肺の破壊が起こる前に対応が必要になります。in vitroの研究ではLZDとCLDMがPVLによる毒素を抑制する効果があるのではと言われていますが、実臨床での効果はまだ分かっていません。

今までは若年者に感染すると言われましたが、当報告が本邦における中高年以降での初めての症例です。本邦でも症例数が増えていることから今後若年者以外での感染例も増えてゆくと考えられます。

※入院時にMR-CNSが検出されたことについては混合感染であったのではと考えています。

0083の論文がCureusにPublishされたってよ -Pseudo-Meigs’ Syndrome With Eosinophilic Pleural Effusion-

今回の論文は症例報告です。

Pseudo-Meigs’ Syndromeという病気をご存じでしょうか?

Meigs’ Syndromeは有名ですよね。骨盤内腫瘍に関係した胸腹水を認める疾患で腫瘍の切除により胸水も自然軽快するのが特徴です。

Pseudo-Meigs’ Syndromeは腫瘍の組織型が異なり、Meigsが良性線維腫または線維腫様卵巣腫瘍(thecoma, granulosa cell tumor, or Brenner tumor)であるのに対し、Pseudo-Meigs’ Syndromeはその他の腫瘍で悪性腫瘍も含まれます。

今回経験した症例は卵巣成熟嚢胞性奇形腫によるPseudo-Meigs’ Syndromeで胸水が好酸球性胸水を呈した1例です!

一般的にPseudo-Meigs’ Syndromeの胸水はリンパ球優位や中皮細胞が増加すると言われていますが、好酸球性胸水の報告はありません。

好酸球性胸水は胸水中の好酸球比率が10%を越えることで定義されます。気胸などの胸腔内に空気が混入した時の胸水が有名ですが、頻度の面では悪性胸水が多く、その他、薬剤や感染症などがあり、特発性も多いと言われています。

今回のはPseudo-Meigs’ Syndromeに合併した好酸球性胸水の初の報告になりますが、Meigs’ Syndromeでは1.9-2.0%で好酸球性胸水を認めると報告されています。しかしその機序は不明です。

さらに今回勉強になったことは、繰り返しの穿刺で好酸球の再現性がなかったことです。当症例は2回目以降はリンパ球優位になりましたが、過去の報告で悪性胸水による好酸球性胸水の38.5-66.7%で2回目の穿刺は好酸球が10%以下に低下するそうです。

好酸球性胸水を見たら様々な疾患を鑑別に入れなきゃですね。

病理カンファレンスが開催されました。

時々しかアップしていませんが、火曜日の通常カンファレンスに合わせて病理カンファレンスが開催されます。

臨床、画像、病理であつまってのDisccussionは盛り上がります。

ベテランが沢山集まっていても、画像からの診断は容易ではありません。

こんな時に鑑別リストを挙げられる力をもつことが必要です。

しかし、わからなくても、診断+その後の臨床経過を意識したアプローチを選択していく力が臨床医には不可欠です。

本日の右下陰影は目を凝らして、、、

昨日朝の風景

この右手に会議棟があって、朝のカンファレンスへ向かうところで撮影

さむっ

思わずカメラを出しました(木村先生も笑)

雪と小彼岸桜?はよいモチーフになりますね。

昼には明るくなって、隣の清瀬高校の卒業生にもよい天気となりました。

夜は定例のNTM勉強会で、今回もよいDiscussionができました。

編者をさせて頂いている書籍の原稿を読んで過ごしています。素晴らしい内容で感謝です。

線毛機能不全症候群が新たな指定難病に指定されました。

呼吸器学会などでお知らせが出ています。2014年からびまん班(本間班長)で取り上げられ、遂に指定難病となりました。

https://www.jrs.or.jp/information/jrs/20240301121107.html

厚生労働省は、線毛機能不全症候群 (primary ciliary dyskinesia, PCD) を新たに指定難病と認定し、2024年4月1日より難病申請の受付を開始することを発表しました(告示番号340 線毛機能不全症候群【カルタゲナー症候群を含む】)。この疾患は原発性線毛運動不全症とも呼ばれ、人の体内に存在する微細な構造物である線毛の運動機能が正常でないことにより発症する疾患で、呼吸器系や生殖器系など複数の器官に影響を及ぼす可能性があります。特に、気管支拡張症による下気道感染症や不妊症など、日常生活に大きな影響を与えることが知られています。 

指定難病に認定されることにより、患者さんとその家族は、医療費の自己負担軽減や福祉サービスの支援など、国からのさまざまな支援を受けることが可能になります。これには、治療薬の費用負担軽減や、必要に応じた医療機器の支給、治療に関連する交通費の補助などが含まれます。また、難病患者とその家族が直面する心理的、社会的な課題に対応するための情報提供や相談支援も強化が期待されます。 

申請は、2024年4月1日以降に患者本人または家族が居住する自治体を通じて行うことができ、詳細な申請方法や必要書類については、各自治体のウェブサイトや、厚生労働省の公式サイトで確認することができます。原発性線毛機能不全症候群に対する理解と支援が一層深まることで、患者さんとその家族がより良い生活を送るための大きな一歩となることを期待しています。

参考となる情報

・難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460

・厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html

・線毛機能不全症候群の診療の手引き(日本耳科学会雑誌)https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjrhi/62/1/_contents/-char/ja

厚生労働省びまん性肺疾患に関する調査研究班