NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題13-15

問13:抗GPL-core IgA抗体が陽性になる可能性のある、MAC以外の迅速発育菌種として挙げられているのはどれですか?
A. Mycobacterium tuberculosis
B. M. abscessus species, M. fortuitum, M. chelonae
C. M. kansasii
D. M. gordonae

問14:肺非結核性抗酸菌症の診断において、細菌が検出されない場合でも典型的な画像所見や抗GPL-core IgA抗体陽性のみで診断は可能ですか?
A. はい、可能です。
B. いいえ、診断できません。特に結核との鑑別には注意が必要です。
C. 暫定的診断基準であれば可能です。
D. 画像所見が非常に典型的であれば可能です。

問15:菌種同定に質量分析法を用いる場合、現状で区別ができないと指摘されている亜種の組み合わせはどれですか?
A. M. avium と M. intracellulare
B. M. intracellulare subsp. intracellulare と M. intracellulare subsp. chimaera、または M. abscessus subsp. abscessus, M. abscessus subsp. bolletii, M. abscessus subsp. massiliense の3亜種
C. M. kansasii と M. gordonae
D. M. chelonae と M. fortuitum

これだけ小さいとすごいです、、スペルトか違っていますが笑

問10正解:B
根拠: 注記5に「核酸増幅法による非結核性抗酸菌の検出感度は培養法より低い。すなわち,核酸増幅法陽性は培養陽性を上回る菌量の存在を示唆すると考えられ,核酸増幅法陽性は細菌学的基準における培養陽性に相当する可能性があるが,核酸増幅法陽性で培養法陰性となる場合もあるため,その妥当性について検証を要する9)。 」と記載されています。

問11正解:C
根拠: 注記7に「水道水や自然水(井戸水など)には非結核性抗酸菌が含まれることがあるため,採痰前にこれらでうがいや口をすすぐことを避ける。」と明記されています。

問12正解:C
根拠: 注記10に「メタ解析によれば肺MAC症診断における抗GPL-core IgA抗体は感度70%,特異度91%であった(カットオフ値0.7 U/mL)12)。」と記載されています。

Brensocatib(Brinsupri®)がFDA承認されたようです。NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題10-12

問10:核酸増幅法(NAAT)を用いた非結核性抗酸菌の検出について、述べられていることは次のうちどれですか?

A. 培養法よりも検出感度が高い。

B. 培養法より検出感度は低いが、培養陽性を上回る菌量の存在を示唆する可能性があり、その妥当性について検証を要する。

C. 培養法陰性であれば、核酸増幅法陽性でも診断はできない。

D. 常に細菌学的基準の培養陽性に相当する。

問11:喀痰検体の採取前に避けるべき行為として、ソースで指摘されているのは次のうちどれですか? A. 飲食

B. 歯磨き

C. 水道水や自然水(井戸水など)でのうがいや口すすぎ

D. 運動

問12:肺MAC症診断における抗GPL-core IgA抗体の感度と特異度は、メタ解析によればどの程度でしたか?

A. 感度 90%, 特異度 70%

B. 感度 50%, 特異度 95%

C. 感度 70%, 特異度 91%

D. 感度 80%, 特異度 80%

https://www.facebook.com/groups/1207491075976603

問7の正解:C
根拠: 表1のB.細菌学的基準3に「病理組織検査(経気管支肺生検または肺生検検体)で抗酸菌症に合致する所見を認め,組織または喀痰検体で1回の培養陽性。」と記載されています。

問8の正解:C
根拠: 注記1に「ATS/ERS/ESCMID/IDSAの診断基準(2020年)3)では臨床的基準において「臨床症状あり」を必須要件にしているが,本邦では臨床症状を伴わず胸部CT検査で相当する陰影を認め細菌学的基準を満たす例も発見されるため 5),先の診断基準 2)と同様に,「臨床症状あり」を診断の必須要件から外した。」と明記されています。

問9の正解:B
根拠: 注記4に「これらの実情を考慮し,固形培地の使用を必須としない。一方,混合感染が疑われる場合には,適宜,固形培地の使用を考慮する。」と記載されています。

0083の論文がMedicineにPublishされたってよ -High Levels of the Pleural Fluid Macrophage Ratio and Mesothelial Cell Ratio Associated with Malignant Pleural Effusion Diagnosis: observational study-

今回の論文は胸水中のマクロファージと中皮細胞についての報告です。

(DOI: 10.1097/MD.0000000000043775)

胸水の細胞分画は疾患の診断や鑑別に非常に重要な役割を果たしています。しかし胸水中のマクロファージや中皮細胞の比率って活用してますか?Light先生の「胸膜疾患のすべて」には概ね診断に寄与しないことが記されています。でもせっかく測るんだから何か活用できないものか…

そこで1,089例の滲出性胸水(201例の結核性胸膜炎、243例の細菌性胸膜炎、432例の悪性胸水、213例のその他の疾患)を収集し、胸水中のマクロファージと中皮細胞について後ろ向きに調査を行いました。

結果:マクロファージ比率も中皮細胞比率も悪性胸水で有意に高い傾向にありました。

胸水マクロファージの悪性胸水診断に対するAUCは0.690(95%Cl 0.657-0.723)であり、7.5%以上をカットオフ値にすると感度66.8%、特異度64.2%でした。また細菌性胸膜炎において、他疾患より優位に低いことからカットオフ値を7.5%以下とすると感度76.7%、特異度54.0%の精度でした。

胸水中皮細胞は統計的には悪性胸水で有意に高いですが、全ての疾患で中央値0%でした。

これが既存の診断フローチャートに組み入れられるか検討しましたが、決定木により除外されました。

さらに胸水マクロファージと中皮細胞は、その比率が高くなればなるほど、より悪性胸水の割合が上がります。

特に胸水マクロファージ≧30%、胸水中皮細胞≧10%で悪性胸水の割合はそれぞれ71.9%、77.3%でした。悪性胸水以外では特に血胸と乳び胸が目立ちました。

なお、悪性胸水の組織型や原発巣で有意差は認めませんでした。

結論:胸水マクロファージ比と中皮細胞比は悪性胸水で高値になりやすく、特に胸水マクロファージ(≧30%)と胸水中皮細胞(≧10%)が極めて高い症例では悪性胸水の頻度が高くなります。

NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問題7~9

問7:病理組織検査(経気管支肺生検または肺生検検体)が肺非結核性抗酸菌症の診断基準に用いられる場合、他に何が必要ですか?

A. 2回以上の異なった喀痰検体での培養陰性

B. 抗GPL-core IgA抗体陽性

C. 抗酸菌症に合致する所見を認め、組織または喀痰検体で1回の培養陽性

D. 臨床症状の改善

問8:日本における肺非結核性抗酸菌症の診断基準で、国際ガイドラインと異なり必須要件から外された項目は何ですか?

A. 画像所見

B. 細菌学的所見

C. 臨床症状の有無

D. 他の疾患の除外

問9:抗酸菌培養検査において、固形培地の使用は必須とされていますか?

A. はい、必須です。

B. いいえ、必須ではありませんが、混合感染が疑われる場合には考慮されます。

C. いいえ、液体培地のみで十分です。

D. 培地の種類は診断に影響しません。

問4の正解:C

根拠: 付記に「*暫定的診断基準はわが国の基準であり国際ガイドラインでは認められていない。」と明記されています。

問5の正解:B

根拠: 注記2に「診断時の画像評価には,解像度の低い胸部単純X線写真ではなく,胸部CT画像(HRCTが望ましい)を用いることとした。」と記載されています。

問6の正解:B

根拠: 表1のB.細菌学的基準2に「1回以上の気管支洗浄液および肺胞洗浄液での培養陽性。」と記載されています。注記3では、この基準は1998年の田中らの研究に準拠していると説明されています。

NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解からー問4-6

問4:日本独自の検査法である抗GPL-core IgA抗体について、わが国の指針での位置づけとして正しいのはどれですか?

A. 国際ガイドラインでも認められた標準診断法である。

B. 他の菌種でも陽性になるため診断的意義はない。

C. わが国の基準であり、国際ガイドラインでは認められていない暫定的な診断基準の一部である。

D. 結核との鑑別に最も有用である。

問5:非結核性抗酸菌症の診断において、胸部CT画像が推奨される理由は何ですか?

A. 患者の被ばく量が少ないため。

B. 解像度の低い胸部単純X線写真ではなく、より詳細な画像評価が可能だから。

C. 臨床症状の有無を判断するため。

D. 細菌学的検査の代替となるため。

問6:肺非結核性抗酸菌症の細菌学的基準において、気管支洗浄液および肺胞洗浄液での培養陽性の必要回数は何回ですか?

A. 2回以上

B. 1回以上

C. 3回以上

D. 規定なし

解答

問1の正解:C 根拠: 表1のA.臨床的基準に「1. 胸部CT(HRCTが望ましい)で,結節性陰影・小結節性陰影や分枝状陰影の散布・均等性陰影・空洞性陰影・気管支または細気管支拡張陰影のいずれかの所見(複数可)を示す。」と「2. 他の疾患を除外できる。」と明記されています。注記1では、国際ガイドラインと異なり「臨床症状あり」は必須要件から外していると説明されています。また、注記2では胸部単純X線ではなく胸部CTが画像評価に用いられることが述べられています。

問2の正解:B 根拠: 表1のB.細菌学的基準1に「2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性。」と記載されています。注記3では、この基準は1991年の束村の研究に準拠し、国際ガイドラインとの整合性のためであると説明されています。

問3の正解:B 根拠: 表1の「1. 肺MAC症の初回診断時に限り,臨床的基準を満たし,1回の喀痰検体で培養陽性かつ抗GPL-core IgA抗体陽性。」と明記されています。注記10で、抗GPL-core IgA抗体は肺MAC症診断における有用性が報告されており、本指針で暫定的な診断基準の一つに追加されたと説明されています。

少し前ですが、昨年に引き続いて、亀田総合病院のカンファレンスにお招きいただきました。難しい症例が続いて私自身も勉強になりました。

https://www.kameda.com/pr/pulmonary_medicine/post_248.html

NTM症の診断と化学療法に関する問題ー学会見解から

先日共同研究をしている先生から、検査の進歩も重要ですが、基本的知識を広める努力がもっと必要なのでなないか、と指摘を受けました。本当にそのとおりです。

個人的にチェックリストの使用を推奨しているのですが(以前こちらのブログでもアップしています)、先日ATSのCME(Continuing Medical Education生涯医学教育)の問題を作らせてもらう機会を頂き、このような問題を気軽に解いてもらうのが良いのではないかと思った次第です。

1回3問くらいで進めてみ良いと思います。

問1:日本結核・非結核性抗酸菌症学会および日本呼吸器学会の肺非結核性抗酸菌症の診断基準において、臨床的基準として満たすべき項目は次のうちどれですか?

A. 胸部CTで結節性陰影や気管支拡張陰影などの所見を認め、かつ発熱がある。
B. 胸部単純X線で異常陰影を認め、かつ他の疾患を除外できる。
C. 胸部CT(HRCTが望ましい)で、結節性陰影・小結節性陰影や分枝状陰影などのいずれかの所見(複数可)を示し、かつ他の疾患を除外できる。
D. 喀痰から複数回結核菌が検出される。

問2:肺非結核性抗酸菌症の細菌学的基準において、喀痰検体の場合、培養陽性と判断されるためには何回の異なった検体が必要ですか?

A. 1回
B. 2回以上
C. 3回以上
D. 検体数に規定はない

問3:肺MAC症の初回診断時に限り適用される暫定的な診断基準として、臨床的基準を満たした上で、1回の喀痰培養陽性に加えて何が陽性である必要がありますか?
A. 胃液検体の培養陽性
B. 抗GPL-core IgA抗体陽性
C. 核酸増幅法陽性
D. 血沈亢進

解答は次回に

地方会の参加登録が始まりました。プログラムのリンクもあります。

日本呼吸器学会
関東支部 会員 各位

時下ますますご清祥のことと存じます。
さて、来る2025年9月13日(土)に秋葉原コンベンションホールで開催する
「第188回日本結核・非結核性抗酸菌症学会関東支部学会/
第266回日本呼吸器学会関東地方会」のオンライン参加登録を
本会WEBサイト(下記URL)より、本日12時より開始いたしました。
https://www.kekkaku.gr.jp/ntm/no188/

【参加登録期間】
2025年8月6日(水)12時~9月13日(土)17時30分

【参加費】 1,000円
※医学生(大学院生除く)・初期研修医:無料
※日本結核・非結核性抗酸菌症学会エキスパート会員:無料

【開催方式】
現地会場(秋葉原コンベンションホール)での開催
※ライブ配信(オンライン)はございません。

【プログラム】
本会WEBサイト(下記URL)にて、8月29日(金)に公開する予定です。
https://www.kekkaku.gr.jp/ntm/no188/

皆さまから多数のご参加をお待ちしております。

第188回日本結核・非結核性抗酸菌症学会関東支部学会
第266回日本呼吸器学会関東地方会
会長  森本 耕三(公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター)

8月4日は世界NTMデーです。

疾患啓発の一環として、アメリカの患者団体である NTMir によってこの取り組みが最初に始まりました。

結核病学会および日本の呼吸器疾患患者団体 J-BREATH は、NTMirの活動に賛同し、

このポスターをはじめ、国内においても引き続き疾患啓発に取り組んでまいります。

NTM symposium 2025の演題募集がはじまりました。

これまでに2回参加させてもらっていますが、大変勉強になります。

WBCをやってすぐに休まず開催するところが、、さすがです。

WBCに参加した先生の多くがまた来たいと話されていましたので、街の雰囲気だけでも充分魅力的です。

ご興味のある先生は是非演題登録して参加してください。

0083の論文がCureusにPublishされたってよ -Comparison of the Utility of Single-Ear and Binaural Auscultations: A Diagnostic Accuracy Study-

今回の論文は、片耳聴診vs両耳聴診!!

DOI: 10.7759/cureus.88673

片耳聴診とは、通常の聴診器の片方のイヤーピースを外して耳をフリーにします。もう片方の耳で聴診をします。そうすることで患者さんとコミュニケーションを取りながら聴診をすることができます。ではその手技の診断精度はどうなんでしょう?

ということで片耳聴診と両耳聴診の精度を比較しました。

   

35名の呼吸器内科医が参加し、肺音のテストを片耳と両耳でそれぞれ行い、以下の3つの評価項目について比較しました。

①聴診可能音量:小さなボリュームから音量を上げ、聴取可能になった音量を測定。

②肺音テストの点数:録音した肺音を参加者に聞いてもらい、その音の所見を答えてもらう。1問2点づつ計8問(Max16点)。

③肺音テストの解答の自信度:肺音テストに解答した際に、その答えの自信度を%で評価してもらった。

以上を静かな環境(40db以下)と騒々しい環境(50-60db)でそれぞれ実施しました。

【結果】

片耳聴診は両耳聴診に比べ肺音テストの点数と解答の自信度が有意に低い傾向がありました。

肺音テストの点数

静かな環境:中央値 12 点 (range 7-15) vs. 13 点 (9-16), p<0.001

騒々しい環境:中央値 12 点 (range 5-16) vs. 13 点 (8-16), p=0.008

解答の自信度

静かな環境:中央値 60.0% (range 30.0-80.0) vs. 70.0% (38.8-92.5), p<0.001

騒々しい環境:中央値 55.0% (range 26.3-78.8) vs. 65.0% (38.8-88.8), p<0.001

一方で、聴診可能音量は有意差を認めませんでした。

肺音ごとの比較では、wheezeは片耳聴診でも鑑別できる傾向にありましたが、coarse cracklesはやや両耳聴診の方が優れていました。

ちなみに呼吸器専門医の有無、男女で分けても有意差はなく、年齢との相関もありませんでした。

【結論】

片耳聴診は両耳聴診に比べ、有意に精度が低下しました。その差は大きくはありませんが、臨床現場において、特に肺疾患を疑う症例ではより精度の高い手技を実施することが推奨されます。

   

※当研究結果を誹謗中傷する目的で使用することを固く禁じます。